ウイズコロナ時代の幕開けとしてテレワーク継続を導入する企業が増えているが、会社に行かなくてはならない人も多いはず。在宅勤務に慣れてしまい、出社するのが憂うつ……だと考える人もいるだろう。
前回、「テレワークが快適すぎる」という会社員を取材したが、現在はどうなっているのだろうか。ふたたび、彼を取材してみた。
◆いまだに在宅勤務が続き…
都内のIT関連会社にSEとして勤務する吉川春樹さん(仮名・30歳)。緊急事態宣言より、自宅でテレワークをしている吉川さんは、前回の取材では勤務中のゲームや飲酒など好き放題にしており、「もう通勤はしたくない……」と語っていた。
「緊急事態宣言が解除されても、いまだに在宅は続いています。むしろ、解除後から在宅になった社員もいるくらいなので、しばらくは出社しなくていいなとニヤニヤしてますね。正直いうと、今は感染者が増えたというニュースが報道される度に『いいぞ、もっと増えろ!』とすら思うように。先日、東京アラートが発令されたときは家で小踊りしたくらいですからね。でも、すぐに解除されてしまったのでショックでした……。最近はあまりにも出社したくなさすぎて、『もう1回、緊急事態宣言出ないかな~』と言っていたら同棲している彼女に怒られました(笑)」
前回の取材同様、勤務中はゲームをしたり飲酒したりと相変わらずノビノビした時間を過ごしていると話す吉川さん。最近の様子はどうなのだろうか。
「そういえば先日、一瞬だけ会社に行ったんですよ。テレワーク用の機材が故障したので、それを上司に伝えたら会社に取りに来てほしいと言われたんです。もう、面倒臭すぎて、上司に言われてから着替えて家を出るまで30回くらい溜息をついていたら、彼女に呆れられました。そのときは飲食店も再開していたので、彼女には『会社に行くんだったら、外でランチでもしてきたら?』と言われたのですが……、今はどこも禁煙で喫煙可能店を探すのが面倒だし、コロナで喫煙所もほとんど閉鎖されてますからね。機材だけ取って、デパートでお弁当を買って1時間ほどで帰ってきました」
◆快適な生活にも不満が?
自粛が明け、普通なら外出したいと考えるだろうが、吉川さんは一切ないという。そんな彼は最近、業務にある不満があるようで……。
「緊急事態宣言中は営業時間短縮のため18時終了だったのですが、再開してから少しずつですが残業を頼まれるようになったんです。出社していた頃は1、2時間の残業は当たり前だったのですが、今は30分でもキレそうに……。この前、『残業代もらえるんだからいいじゃん』と上司にチャットで言われたので『残業するくらいならお金払ってでも退勤しますよ』と返信して以来、頼まれることは減りましたけれど。
あと、主な業務はサーバー管理なのですが、それ以外は顧客対応の電話を取ることもあるんです。顧客対応のアンケート結果によって表彰記念品がもらえることがあるのですが、僕の場合、システム管理なので対象に入らないと言われたんですよ。それで最近は、さらにやる気を失っていますね……」
実は吉川さん、顧客対応のアンケート結果の成績はトップだという。そのため、多少の怠慢も許されているようだが、このままテレワークが続いたらさらに廃人化が進んでしまうのでは……と筆者は思った。
◆テレワーク前と現在の生活の変化をまとめてみた
なお、会社では後輩を連れて飲みにいくことが多いため、奢ることもしょっちゅうだったという。現在、かなり倹約な生活になったように思えるが、ほぼ家から出なくなったので体重は増加気味だそう。
テレワークが普及する一方で、吉川さんのような「テレワーク廃人」が増えることも、目を背けてはいけない問題かもしれない。
最後に、吉川さんのテレワーク前と現在の生活の変化についてまとめてみた。
【吉川さんのテレワーク前と現在の変化】
・テレワーク前
平日
8時~9時起床
9時、または10時に出社、18時または19時退社だが、1~2時間の残業は当たり前。
部下のフォローをしてランチが夕方になることも。
社内は禁煙のため、タバコはランチ休憩のみ。
就業後は、職場の飲み会で終電過ぎに帰宅することも。
休日
同棲している彼女に付き合って外出。連休のときは友人と飲みに行くことも。
・テレワーク現在
平日
業務開始10分前に起床
9時~18時の固定勤務。残業はほぼナシ。
勤務中はゲーム、時々飲酒、タバコは吸い放題
ランチ12~13時
夜は家で晩酌、ゲームをしたり、動画を見て過ごす。
休日
自粛を言い訳に外出は一切ナシ。