放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は9日、九州電力川内原発(鹿児島県)をめぐる誤報があったテレビ朝日系ニュース番組「報道ステーション」について、「客観性と正確性、公平性を欠いた放送倫理違反」とする意見書を発表した。
対象となったのは、昨年9月10日の放送。原子力規制委員会の記者会見で、竜巻をめぐる質問に答えた田中俊一委員長の発言を、火山に関する発言になるよう編集した。また、記者とのやり取りを省略し、田中氏が複数の質問への回答を拒んだような編集を行った。
意見書によると、会見の文字起こしや映像編集を複数のスタッフが分業するなか、VTR原稿を担当したディレクターが事実誤認に気づかなかった。放送倫理検証委の川端和治委員長は「追い込み作業のなかでチェック機能が働かなった」と指摘した。
また、田中氏が複数の質問への回答を拒絶したような編集について、川端委員長は「どこをVTRに使うかによって視聴者の印象は変わってくる。今回の編集は事実を正確に伝えたことにならない」と述べ、放送倫理違反と判断した。
テレビ朝日は昨年、規制委からの抗議を受けて番組内で謝罪、訂正し、番組プロデューサーら計7人を減給や譴責(けんせき)処分にしていた。