宮城県亘理町のタクシー会社常南は25日、町内の飲食店など16事業者と連携し、テークアウト商品を届けるサービス「タク配」を始めた。タクシーが飲食料品を宅配できる国の特例措置を活用したサービスで、対象エリアは町内全域。特例措置が終わる5月13日まで実施する。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、タクシー業界支援と増加する宅配需要に応えるため、国土交通省が4月21日に特例措置を導入した。
利用できる16事業者は町ホームページ「お知らせ」欄で確認できる。利用者は飲食店に注文し、宅配サービスを利用する旨を伝える。宅配料は注文先と届け先が2キロ以内なら500円、2キロ超は1000円。常南は飲食店から税抜き注文代金の10%を受け取る。
初日となるこの日、同町荒浜のすし店「あら浜」亘理店に早速昼食の注文が2件入った。ドライバーが店舗に出向いて持ち帰り用の天丼とすし計10個を受け取り、トランクに入れた。フロントガラスには特例措置であることを示す「貨物」と記した紙を置き、利用者に届けた。
食品を扱うため、衛生面には特に気を配る。運転手はマスクとビニール手袋を着用し、商品に触れていないことを示す手作りシールを紙袋に付けた。
運転手の宮本義浩さん(54)は「いつも以上に慎重に運びたい。タクシーは小回りが利くので、テークアウトに気軽に活用してほしい」と話した。
あら浜亘理店は25日~5月10日、店舗営業を中止し、持ち帰り販売だけを行う。2代目塚部慶人さん(38)は「4月に入って外出自粛の雰囲気が広がり、売り上げは例年の半分以下。出前はしていないので、宅配は助かる」と期待する。
特例措置に基づくサービスは常南が22日に県内で初めて宮城運輸支局に申請した。