デジタルサイネージ参入相次ぐ 街ナカメディアの将来性探る

多数の人が集まる駅やコンビニエンスストアを舞台に、大型ディスプレーで情報や広告を発信するデジタルサイネージ(電子看板、DS)事業への参入が相次いでいる。DSは「街ナカの情報メディア」として成長が見込まれ、参入各社は従来のDSにはない新機能やサービスを付加し、認知度アップを目指す。
 JR東日本や東京メトロ、京王電鉄など首都圏の鉄道会社11社が連携して今月21日、20駅に置いたディスプレー27基で「駅デジタルサイネージネットワーク」の実証実験を始めた。ディスプレーにはコンテンツを見た人の数や年代を推定する顔認識カメラシステムを搭載。1年間にわたって、どのようなコンテンツが注目されるかを検証し、DSの効果的な使い方を探る。
 コンビニ店頭でのDS活用も本格化してきた。ファミリーマートは産経新聞社と組み、29日から東京、埼玉の20店舗でDS「SSE(サンケイ サイネージ エクスプレス)」の実証実験を開始する。店外向け46インチ、店内向け40インチの両面タイプのディスプレーをコンビニ業界で初めて導入。店外、店内ともディスプレー横にFelica(フェリカ)端末があり、携帯電話をタッチするとさまざまな情報を取得できる。
 多くの人にDSを見てもらうため、オリジナルコンテンツを充実させた。産経新聞社のニュース番組「サンケイ リアル タイムズ」では独自開発のCGキャラクターが音声合成技術を使ってニュースを読む手法を取り入れており、ニュースの見せ方の新たな形として注目を集めそうだ。また、店舗周辺の地域情報なども配信し、「街の情報発信拠点」を目指す。
 コンビニ業界ではローソンがNTTドコモ、アサツーディ・ケイと事業会社「クロスオーシャンメディア」を設け、先月29日から都内289店舗でDSの運用に入った。フェリカ端末も備えており、キャンペーン情報などを入手できる。
 DSで観光情報を発信する動きもある。東京都墨田区が「すみだ電子情報看板」を観光案内所などに9基設け、16日から運用を始めた。同区内で建設が進む東京スカイツリーの周辺の観光振興につなげる。
 DS関連企業が参加するデジタルサイネージコンソーシアムの江口靖二理事は今月行われたDS見本市のシンポジウムで、「人々に求められるコンテンツを流すことで(DSは)街と人の心を豊かにする存在になる」と指摘しており、DS発展のカギはコンテンツが握っているようだ。

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