デジタル化、1年で「集中改革」 財政健全化目標は言及せず 骨太原案

政府が近くまとめる経済財政運営の基本指針「骨太の方針」の原案が7日、判明した。  社会全体のデジタル化について、新型コロナウイルスの感染拡大で遅れが表面化したと指摘した上で、今後1年を「集中改革期間」として取り組みを加速すると明記した。新型コロナ対策で膨らんだ巨額の財政赤字の改善が見通せなくなったことを受け、2025年度に基礎的財政収支(PB)を黒字化する財政健全化目標については直接的な言及を見送った。  世界的に保護主義の傾向が強まっており、国際協調を通じて自由貿易体制を維持する考えも打ち出した。政府・与党は7月中旬の取りまとめを目指し、文案の最終調整を進めている。  行政手続きをめぐっては、マイナンバーカードの普及の遅れから一律10万円の現金給付が速やかに実施できないなどデジタル化の遅れが目立った。骨太原案は「一刻の猶予もない」と危機感を示すとともに、内閣官房に民間専門家と関係府省庁を含む新たな司令塔機能を構築し、デジタル化の集中改革を強力に進めるとした。  秋以降に本格化する21年度予算編成に向け「経済を守り抜き、決してデフレに戻さない」との決意を表明する一方、本文中ではPB黒字化目標について記載しなかった。ただ、目次部分に黒字化目標を含む昨年の骨太の内容について「着実に実施する」と記し、財政規律にも配慮する意向をにじませた。  新型コロナ拡大に伴い、世界では自国第一主義や反グローバル化の傾向が強まり、自由貿易体制が揺らいでいる。骨太原案は、国際的な人の移動に関する感染症のリスク管理のルール整備を進める方針を打ち出した上で、「自由で公正な貿易・投資ルールの実現をけん引する」と強調した。  金融システムの安定については「金融機能強化法に基づく民間金融機関への資本参加の枠組みを活用する」と明記。日銀に対しては「2%の物価安定の目標の下、金融緩和を推進することを期待する」と求めた。 

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