デジタル教科書に「不安」9割…「視力低下」「通信環境」など懸念

公立小中学校を所管する46道府県庁所在市、政令市、東京23区の計74市区のうち、9割超の69市区がデジタル教科書の使用に不安や懸念を抱いていることが、読売新聞のアンケート調査で明らかになった。望ましい教科書の形は、62市区(83・8%)が「紙とデジタルの併用」と回答した。

 デジタル教科書に不安や懸念が「ある」と答えたのは千葉、名古屋、堺、鹿児島市など24市区で、「少しある」は札幌、横浜、大阪、福岡市など45市区だった。合計すると69市区、93・2%に上る。

 不安な点を複数回答で尋ねたところ、〈1〉視力の低下など健康面の影響(55市区)〈2〉家庭の通信環境の確保(47市区)〈3〉校内外の安定的な通信環境の確保〈3〉教員のICT(情報通信技術)指導力(いずれも40市区)――の順に多かった。このほか秋田、津、京都、佐賀市など26市区は「『書く』時間の減少」を挙げた。盛岡市は「健康への不安はないと確信を持てず、検証が必要だ」としている。

 端末は家庭で使うことも想定される。大阪市は「紙ならどこでも学べるが、デジタルは通信環境が必要だ。家庭で通信費の負担が生じてしまう。通信障害が起きると、勉強できなくなる恐れがある」と指摘した。

■使用時間制限 撤廃案を了承

 文部科学省は22日、デジタル教科書の使用時間を「各教科の授業コマ数の2分の1未満」と定めた基準を撤廃する方針を有識者会議で示し、了承された。今年度中に省の告示を改正し、来年4月から適用する。

 文科省は方針に▽30分に1回、20秒程度、目を休ませる▽目と端末の距離を30センチ程度以上離す――など、子供の健康面に留意する必要性を明記した。有識者会議では「健康への影響や、学力面の効果を検証するべきだ」などの指摘が出た。

タイトルとURLをコピーしました