宮城県色麻町役場で18日、町営のデジタル無線網を通じて災害情報などを発信する、情報通信施設の開局式があった。全国の市町村で初めて無線局の免許を取得して運営する事業で、町や県、国の関係者ら約40人を前に、運用を開始した情報配信システムの実演が行われた。
式では、担当者がスマートフォンなどの情報端末を使い、システムの概要を説明した。災害現場で撮影した写真や文字情報を町のホームページ内の災害サイトへ瞬時にアップロードしたり、音声情報を町内各地に設置したIP電話機へ一斉に配信したりして見せた。
町は災害情報や行政情報などを流していた従来の有線電話網が老朽化したため、町内6カ所に高速無線通信「WiMAX(ワイマックス)」の基地を設置し、全町をカバーする独自の無線通信網を新たに整備。合わせて、災害情報などの配信システムも構築した。
通信網は独立しているので、大規模災害などで町外の通信事業者の通信網がダウンしても町内での通信は影響を受けないのが強み。平常時は町の総合通信網として、緊急時には災害情報連携システムとして活用する。
災害時に避難所となる小中学校や集会所など約40カ所にIP電話機とタブレット端末を配備、1日に運用を始めた。本年度から町内全ての約2000世帯へスピーカーと受話器付きの無線受信機を配り、2015年4月に全面運用開始となる。
伊藤拓哉町長は「安心安全なまちづくりが一歩前進した。幅広い活用ができると期待している」と話した。