【東神楽】路線バスが利用者の減少で低迷する中、「デマンドバス」と呼ばれる予約制バスが道北地方でも注目を集めている。旭川運輸支局によると、上川管内 23市町村のうち、導入済みは約7割の17自治体に上る。来年度からは東神楽町も新たに加わる予定で、現在試験運行を繰り返している。
利用者の予約に基づいて経路や時刻を決めて走るデマンドバスは、2006年の道路運送法改正の規制緩和で可能になった新しい運送サービスだ。
同支局によると、昨年度の管内(上川、留萌、宗谷、空知一部)の路線バスの路線距離は需要減に伴い、06年度に比べて399キロ減の5031キロに減少。 その一方で、デマンドバスを活用し、公共交通を維持する動きが急増している。同運輸局は「人口減少で既存のバス路線が維持できなくなると、さらにデマンド バスが増える可能性はある」とみている。
上川管内で新たに導入を目指す東神楽町は、民間バス路線が廃止された後、3路線(聖台、稲荷・八千代、忠栄・志比内)を運営してきた。だが、乗客なしの「空バス」が全体の3割を占めることから、運行費用の圧縮にもつながるデマンドバスに期待する。
町は2日から、聖台線2便(午前8時55分と同11時55分)で試験運行を開始。12月からは稲荷・八千代1便(午前10時35分)、志比内2便(午前9時40分、午後0時40分)に拡大し、来年1月末まで続ける。
試験運行は平日のみで、町での事前登録が必要。運賃は中学生以上1人100円、小児50円。利用の前日午後4時までに役場に予約連絡を入れる必要がある。
今月上旬に聖台線を利用した秋葉勇さん(83)は「家の前まで来てもらえて便利。予約した方が間違えなくて済む」と話す。ただ、予約が煩わしいといった声もあるという。町は試験運行後、検証をした上で新年度から本格導入する方向だ。(東久保逸夫)