全国の消費生活センターに寄せられたモバイルデータ通信に関する相談は2012年度で4000件を超え、前年の3割増。料金や条件などの内容や仕組みが分からないまま「お得だ」と思って導入したり、不意打ちの訪問販売などを受けてうっかり契約したりし、後からトラブルになる事例が多い。こんな集計を国民生活センターがまとめた。
ここで言うモバイルデータ通信とは、屋内外を問わず持ち運びができるモバイルWi-Fiルーターを使って、インターネットに接続するサービス。光回線やADSLとは異なり工事をせずに利用できる他、通信速度も向上し、料金も固定回線との差がなくなりつつある。
一方、基地局の普及状況や障害物の有無により必ずしも利用したい場所で確実に通信できるとは限らない。こうしたサービスをめぐる消費生活センターへの相談は、2009年度に1631件だったものが、2010年度には1897件、2011年度は3246件、2012年度は4152件と増加の一途をたどっている(グラフ参照)。
光回線やADSL回線からモバイルデータ通信への乗り換えを勧めるキャンペーンや、スマートフォンやタブレットとのセットでの販売に目を引かれ、購入したものの契約後に使いたい場所ではつながりにくく、解約しようとしたところ、2年拘束などの条件を理解していなかったため、解約料がかかる、といった事例が多い。
不意打ちのような電話勧誘、訪問販売も多いが、モバイルデータ通信の契約は、特定商取引法の適用がなく、クーリングオフ規定の適用がない。例えば、それまで契約している光回線の関連会社だと思わせる勧誘を受けて、無関係の会社に追加契約をしてしまったり、訪問販売で固定回線が使えなくなると虚偽の説明を受けて契約してしまったりという報告もある。さらに店舗契約でも強引な勧誘はあるという。
2012年度の相談から被害に遭っている人を見てみると、20―40歳代と比較的若い層が多く、全体の59.7%を占める。職業は給与生活者(会社員・公務員など)が54.2%、性別では男性が56.6%。居住地域で見ると関東(45.8%)に集中しており、特に東京(17%)が多かった。