2012年上期(4―9月)に転職活動を行った人にその理由を尋ねたところ、「ほかにやりたい仕事がある」がトップに上がった。こんな結果をインテリジェンスがまとめた。2008年の調査開始以来、不動の1位だった「会社の将来性が不安」を初めて上回った。
この調査は2012年4―9月の期間、「DODA転職支援サービス」に登録していた22―60歳の男女3万人を無作為に抽出して実施した。同期間の転職理由は、「ほかにやりたい仕事がある」が12.7%が1位となり、次いで2位は「会社の将来性が不安」が12.5%、3位は変わらず「給与に不満がある」が7.6%と続いた(グラフ参照)。
2008年から半期(6カ月)ごとの転職理由の推移を見ると、リーマン・ショックを機に急増した「会社の将来性が不安」の割合は2009年上期をピークに減少し、今回の調査でようやくリーマン・ショック以前の2008年上期と同水準に戻った。一方、今回トップの「ほかにやりたい仕事がある」は、2008年以降右肩上がりで増加している。
景気や会社の業績が上向き始めたことで会社に対する不安が軽減されたことと、仕事を選ぶ軸として「仕事内容(やりがい)」を重要視する人が増えたことの2つの要因が背景にあると、インテリジェンスは分析している。
業種別に転職理由を見ると、「IT/通信/インターネット」は他の業種に比べ「専門知識・技術を習得したい」「市場価値を上げたい」など技能の向上を希望して転職活動をする傾向が強い。
また「メーカー」は「会社の将来性が不安」が1位となった。インテリジェンスによると、最近では自動車分野が伸びている一方、家電分野は低迷が続くなど、メーカーは景気や社会情勢によって分野ごとの需給バランスが変動しやすく、自社製品の需要低下や、自身の専門領域事業の撤退・縮小に不安を感じて転職する人が多いという。
職種別の転職理由をみると、「営業系」は「給与に不満がある」や「会社の評価方法に不満がある」などが多く、年収向上を目指して転職する人が多い。営業成績によって給与が変動しやすいため、自身の評価に妥当性を求める傾向が強い。
「販売/サービス系」は、「不規則な勤務が不安」「土日祝祭日に休みたい」など就業時間に対する不満が上位。個人顧客を相手にする業務であるため、年中無休や深夜に営業する店舗が多いことが背景にあるとインテリジェンスは分析している。「建築/土木系技術職」は、「残業が多い/休日が少ない」がトップ。工期内の完成を目指すため繁忙期は残業が多くなる影響だという。
(植木 皓=ニューズフロント)