世界最高峰の自動車耐久レース、ルマン24時間(6月16~17日、フランス)などへの参戦を表明しているトヨタは24日、フランスのポール・リカール・サーキットで参戦用車両「TS030ハイブリッド」を発表した。
3400ccの自然吸気エンジンを搭載し、ハイブリッド・システムを採用したマシンは、F1参戦時の実動部隊だったトヨタ・モータースポーツ有限会社(TMG)で開発、製造。参戦チームもTMGが運営し、世界耐久選手権(WEC)の第2戦(ベルギー・スパフランコルシャン、5月5日決勝)で実戦デビューする。
WEC第3戦のルマン24時間には2台体制で出場。今季は車両とシステムの開発を主眼に、10月14日決勝の第7戦(静岡・富士スピードウェイ)など、その後の数戦にも出場する方向だ。
ドライバーとしてはすでに元F1ドライバーの中嶋一貴(27)と、アレックス・ブルツ(37=オーストリア)、ニコラス・ラピエール(27=フランス)の3人が発表されている。2台目のドライバー候補としてはフォーミュラ・ニッポンやスーパーGTで戦う石浦宏明(30)の名が挙がっており、すでに11~13日の初試走(ポール・リカール・サーキット)でステアリングを握ったことも明らかにされた。
チーム代表を務める木下美明TMG社長は「もちろんルマンでは優勝したいと思っている。しかし、非常に強いライバルを相手に戦えるようになるには学び、成長しなければならないと現実的に考えており、今年のわれわれの目標はTS030ハイブリッドの性能レベルを見せることだ。ハイブリッドはトヨタのコア技術であり、モータースポーツの舞台でこれを見せることは重要であり、ラップタイムと燃料効率の両方でパフォーマンスのアドバンテージを発揮できることを証明したい」とした。
またルマン24時間初参戦となる中嶋は「TMGのドライビング・シミュレーターでは長い時間運転しているので、バーチャルな世界の中ではクルマのことも分かっているし、ルマンのコースのことも分かっている。やっと本物を運転するときが来た。自分にとってはすばらしい挑戦だし、トヨタとともにWECに出場するのは本当に楽しみだ。ハイブリッド技術を携えてのルマンへのカムバックはトヨタにとっては大きなチャレンジだと思うが、われわれドライバーにとっても大きなチャンスだ」とコメントした。
伝統のルマン24時間の車両、競技規定に基づくレースはシリーズで行われており、今季からは国際自動車連盟(FIA)が承認した世界選手権に昇格した。ルマンではここ数年、アウディなどのディーゼルエンジン勢が席巻しており、トヨタの参戦でディーゼル対ハイブリッドの構図も注目される。