トヨタ自動車とトヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)は13日、宮城県、大衡村と災害協定を結んだ。大規模災害による停電時などに、自家発電設備を使って村内に電力を供給するのが特徴。発電した電力は東北電力の送電網を通じて供給する方向で、今後、東北電などと具体的な送電方法を検討する。
トヨタが電力供給を盛り込んだ協定を自治体と結ぶのは初めて。県庁で調印した同社の新美篤志副社長は「災害時は地域の復興を最優先に、トヨタ東日本の機能を役立ててほしい。生産拠点のある国内他地域の手本としたい」と語った。
協定によると、災害時にはトヨタ東日本本社のある宮城大衡工場が復旧拠点となる。工場併設のコージェネレーション(熱電併給、出力7800キロワット)設備のガスエンジンで発電した電力を、東北電を通じて村役場など行政施設や避難所、一般家庭に送る。村内全ての約1700世帯分の電力を数日間確保できる能力があるという。
従業員が救助活動に協力するほか、工場内に1次避難場所を設け、備蓄する食料、飲料水を提供。工場近くに来春開校する太陽光発電設備付きの職業訓練校「トヨタ東日本学園」は情報発信拠点と位置付け、衛星電話を使った通信機器を一般に開放する。
トヨタはトヨタ東日本を核に、工業団地内の電力自給などを目指す「F-グリッド構想」を計画。宮城県や大衡村などと地域支援にもつなげる検討を進めてきた。
協定の調印式にはトヨタ東日本の白根武史社長、村井嘉浩知事、跡部昌洋村長も出席。村井知事は「電力供給や避難所開設などで民間工場の協力を得るのは県内初となる。画期的な協定だ」と述べた。