トヨタ自動車と出光興産は12日、電気自動車(EV)用の次世代電池である「全固体電池」の量産化に向けた協業で合意したと発表した。固体電解質の量産技術開発や生産性向上、サプライチェーン(供給網)の構築に両社で取り組む。
両社の社長が午後3時から記者会見し、詳細を説明する。
全固体電池は、電池を構成する正極材、負極材、電解質のうち、通常は液体の電解質に固体材料を使うため、液漏れなどの心配がなく、安全性や形状の自由度が高まる。繰り返し充電しても劣化が少なく、高容量・小型化など電池の基本性能を劇的に高められることから、実用化すれば自動車業界の競争図を塗り替える「ゲームチェンジャー」になる技術とされており、トヨタは令和9~10年に実用化する方針を明らかにしている。
今回の協業は、高容量・高出力を発揮しやすいとされている硫化物系の固体電解質が対象。硫化物固体電解質は、柔らかく他の材料と密着しやすいため、電池の量産がしやすいという特徴があるという。
両社は今後、数十人規模の作業チームを立ち上げ、双方の知見を合わせて硫化物固体電解質の開発と量産化に向けた素材の作り込みを進め、出光の生産設備を使って実証を行い、その結果も踏まえて本格的な量産と事業化を検討する。
全固体電池については、出光が平成13年から、トヨタが18年からそれぞれ要素技術の研究・開発に取り組んでおり、両社の豊富な技術的蓄積を共有することでEV用次世代電池の実用化に向けた競争をリードする狙いとみられる。