トヨタ自動車が宮城県内への建設を発表したエンジン工場について、2012年度前半の稼働を計画していることが23日、関係者の話で分かった。早ければ年内に着工する見通し。13年初めごろとしていた稼働時期を大幅に前倒しすることになり、工期の圧縮などで対応する。
エンジン工場はトヨタの部品製造子会社のトヨタ自動車東北(宮城県大和町)が、同社隣接地に建設する。製造するのはハイブリッド車(HV)専用のエンジンで、関東自動車工業岩手工場(岩手県金ケ崎町)が生産する予定の小型HVに搭載される。
小型HVは12年初めにも発売が見込まれている。HV市場は拡大しており、トヨタは東北域内でもエンジン供給体制を早期に構築することが必要と判断したとみられ、エンジン工場稼働の前倒しに向けた作業を進めている。
関係者によると、トヨタ東北は既に建設準備を本格化させており、今月上旬には建築業者向けの現地説明会を開催した。
エンジン工場はトヨタ東北の隣接地約21ヘクタールに、床面積約5000~6000平方メートルの建屋が建設される予定。総事業費は約20億円が見込まれている。
新設工場には愛知県内の工場にも採用されている最新の生産ラインを導入。当面は供給された部品で年間10万基を組み立て、将来的に部品の生産も担うようになった場合は建屋を増設する。
エンジン工場は08年4月、トヨタ東北が建設計画を発表。当初は10年末の稼働を予定したが、08年秋のリーマン・ショックの影響で着工が延期された。トヨタの豊田章男社長はことし7月、仙台市で記者会見し、東日本大震災を受けた東北の復興支援策としてエンジン工場計画の推進を表明した。