トヨタ、宮城のパプリカ工場増設 セントラル自の廃熱活用

トヨタ自動車と豊田通商(名古屋市)は16日、宮城県大衡村の第2仙台北部中核工業団地内に、パプリカを水耕栽培する新たな農場を整備すると発表した。来年1月の栽培開始予定で、隣接するセントラル自動車が導入した自家発電設備の廃熱を活用する。トヨタは団地内で進める次世代送電システム「スマートグリッド」構想を具体化する農商工連携のモデル事業と位置付けている。
 宮城県庁で同日、モデル事業開始に向け調印したトヨタの白根武史専務役員は「自家発電設備の活用で環境にやさしいパプリカ生産が可能になる」と説明。豊田通商の清水順三副会長は「海外への輸出も視野に入れたい」と述べた。
 新農場は、トヨタがセントラル南側に所有する約3ヘクタールの用地を使い、大型鉄骨ハウスを建設する。12月に着工する予定。栽培面積は約1.8ヘクタールで、年間315トンの生産を見込む。
 豊田通商の子会社が出資する農業生産法人ベジ・ドリーム栗原(栗原市)が事業主体となる。同法人の農場としては栗原市内2カ所を含めて3カ所目で、新たに地元を中心に約20人を新規採用する予定。活用するのはセントラルが2月に稼働させたコージェネレーション(熱電併給)設備。廃熱を利用した温水をパイプラインを通じて農場内に送り、冬場などの室温維持に使う。
 ベジ・ドリーム栗原によると、暖房をすべてLPガスで賄う場合と比べ、二酸化炭素排出量を25%、生産コストを7%それぞれ削減できる。熱電併給設備のエネルギー効率も63.5%から76.5%にアップするという。
 県庁での調印にはベジ・ドリーム栗原の高橋誠一郎社長、村井嘉浩宮城県知事、跡部昌洋大衡村長も出席。村井知事は「環境負荷を抑えた新たな農商工連携のモデル。産業復興の足掛かりとなる」と期待した。

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