トヨタ自動車は9日、目指す企業の方向性を示した長期指針「トヨタ・グローバルビジョン」を発表した。成長著しい新興国市場への対応を加速し、日米欧を除く新興国での販売台数の割合を、2010年の4割から15年に5割に引き上げる。
特に世界最大の市場となった中国を「成長のけん引役」と位置付け、販売比率を10年の11・2%から15年には15%程度を目指す。また「環境対応車」を新興国対応と並ぶ柱とし、ハイブリッド車(HV)は15年までに10車種程度の新型車を市場に投入する。アジア地域は、新興国向け小型車の世界的な開発拠点とする。
世界販売台数(レクサスブランド含む)は、10年の753万台から15年には900万台規模に増やす見通し。子会社のダイハツ工業、日野自動車を含めたグループ全体では1000万台規模になる。ただ、豊田章男社長は市場予測に基づいた数字と説明、「数値目標で引っ張る経営はしない」と強調した。
優先課題は「リーマン・ショックのような景気後退があっても利益を出せる」安定した経営基盤づくりとし、収益面で連結営業利益1兆円程度、連結営業利益率5%を確保できる体質の早期実現を目指す。4月以降に各地域で経営目標を定め、後日に中期経営計画として具体化、公表する方針。
合わせて発表した役員体制では、経営判断の迅速化を図るため取締役を6割減らし、海外各地で判断できるグローバル経営に立て直す。