【ニューヨーク=杉本貴司】トヨタ自動車は1日、米国で生産するミニバン「シエナ」を韓国に輸出すると発表した。米国から韓国への輸出は初めて。これまでは大半を日本から輸出してきたが、円高・ドル安が長期化。日本からの輸出環境が悪化する一方、米国製のコスト競争力が高まったと判断した。米韓自由貿易協定(FTA)の発効も視野に入れ、自動車の供給体制を見直す。
シエナはインディアナ州で生産し、主に米国とカナダ、メキシコで販売している。韓国への輸出は11月初めから始め、月50台程度を計画している。
トヨタは1988年から米国製自動車の輸出を始めた。2010年の輸出台数は前年比30%増の約10万台と、ドル安を受けて輸出を拡大している。
韓国に関しては米国とのFTAが来年1月に発効する見通し。米国から韓国への乗用車輸出では現在8%の関税が発効後まず4%に縮小、5年目には完全撤廃される。
トヨタの10年の韓国への輸出台数は前年比48%増の1万500台と大幅に増えた。ただ、ウォン安を受け日本からの輸出競争力が急速に低下している。日本政府の対外経済連携や円高への対策の遅れが、自動車メーカーの供給体制に影響し始めてきた。