トヨタ「シロ裁定」に安堵…ブランド再生で攻勢に

 米運輸省が、「トヨタ車の電子制御システムに問題はない」とする最終的な“シロ裁定”を出したことによって、トヨタ自動車関係者は一様に、「これまで主張してきたことがやっと認められた。まずは一安心」(同社幹部)と、胸をなで下ろしている。
 これまでトヨタは一貫して「電気系統に欠陥はない」と主張してきた。いっぽう米議会公聴会などでは、急加速問題がトヨタ車に限ったものでないことが浮き彫りになったり、原因の多くがドライバーの運転ミスであることが判明。米国内での“トヨタたたき”の論調は次第に弱まってきていた。
 今回の調査は、米運輸省と米航空宇宙局(NASA)のエンジニアという米国の技術トップクラスが担当。この種の調査としては「極めて長い、1年という日時をかけた」(業界関係者)内容で、トヨタ車の電子制御システムに問題がないことを証明した。ようやく「米国の消費者の不安を、科学的に解消することができる」(トヨタ幹部)ことになる。
 今回の“シロ裁定”を受けトヨタは、信頼が失墜し、販売が大手メーカーの中では“独り負け”状態だった米国市場で再び攻勢をかける構え。急加速問題にからんで、トヨタ車の所有者らが損害賠償を求めて起こした米国内の集団訴訟は今後、トヨタ側に有利に運ぶ可能性がある。
(平尾孝)

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