トヨタ自動車が、年内にも発売するコンパクトハイブリッド車(HV)の概要が、28日までにわかった。主力小型車「ヴィッツ」の車台をベースに、1500ccエンジンとHVシステムを組み合わせ、従来の「10・15モード」基準でガソリン1リットル当たり40キロ超の燃費性能となる見通し。実際の走行パターンに近い新基準「JC08モード」でも、燃費は40キロ弱となる見込みで、HVの看板車種「プリウス(同32キロ)を上回り、世界最高となる。
コンパクトHVは、今年12月の東京モーターショーで公開される予定。トヨタはプリウスシリーズとは別のブランドで展開する方向で、新しいブランド名として「アクア」などが検討されている。価格はプリウスより安い100万円台後半で調整しているとみられる。
国内の自動車市場では、消費者のコスト意識の高まりなどを背景に、低燃費の新型車投入が相次いでいる。
昨年秋にホンダがコンパクト車「フィット」にHVモデルを追加し、それまでトヨタしか達成していなかった30キロ超(従来基準)の燃費性能に対抗。さらに、今年6月にはマツダが、ガソリンエンジン車として同30キロの「デミオ」を発売。今月20日には、ダイハツ工業が同32キロの新型軽自動車「ミラ イース」を投入するなど、燃費競争が激しくなっている。
来年には、三菱自動車も従来基準よりも厳しい新基準で、約30キロの低燃費・低価格コンパクト車の投入を計画しており、市場ではリッター30キロ台も絶対的な低燃費性能を誇示する状況ではなくなろうとしている。 このため、これまでプリウスで消費者に燃費性能の優位性をアピールしてきたトヨタは、他社に先駆けたリッター40キロ級の新車投入で、低燃費のトップランナーの座を死守する考えだ。