[東京 25日 ロイター] – 日本の自動車レース「全日本スーパーフォーミュラ選手権」を主催する日本レースプロモーション(JRP)は25日、トヨタ自動車、ホンダと共同で、温暖化ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現に向けた技術開発に取り組むと発表した。二酸化炭素(CO2)と水素を合成した環境に優しい燃料の使用や、植物由来の天然素材などを使った車両の開発を2022年から進める。
世界で脱炭素化への動きが強まる中、CO2を排出するガソリンエンジン車が主流だったモータースポーツの世界も環境対応を迫られている。スーパーフォーミュラではエンジンを提供し、性能を競い合っているトヨタとホンダが協力し、脱炭素社会に相応しいモータースポーツの刷新を目指す。
JRPの中嶋悟会長は会見で「本当に危機感を持ってこの業界全てが対応しなければならない」と指摘。「トヨタとホンダに相談し、来シーズンからテストを始め、やっていこうということで賛同いただけた」と述べた。
トヨタの佐藤恒治執行役員は「カーボンニュートラルに向けた動きは1社が頑張ればいいわけではない。いろいろなノウハウを持ち合いたい」と語った。ホンダ執行職の渡辺康治ブランド・コミュニケーション本部長も「メーカーの垣根を超えながら同じ夢を実現したい」と話した。
3社は今後、燃料や素材、パワートレイン、シャシー、タイヤなどあらゆる面での開発中の技術を搭載した試験車を走行させ、実験を重ねて技術進化につなげる。
JRPは環境対応のほか、ファンがもっと楽しむためのデジタル対応を強化することも明らかにした。レースのライブ中継をはじめ、全ドライバーの運転中の映像、車速などの車両データ、ドライバー無線のやりとりなどの音声をスマートフォンで視聴できるようにする。