トヨタの軽自動車本格参入  販売チャンネル統廃合が見え隠れ

ダイハツ工業からOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受け、軽自動車販売に本格参入するトヨタ自動車。2011年秋から全国のカローラ店とネッツ店および15県のトヨタ店とトヨペット店で軽自動車の取り扱いを開始する。
軽自動車と客層が重なる小型車が充実しているカローラ店とネッツ店では軽販売によるメリットも大きい。一方、高級車を揃えるトヨタ店、トヨペット店にとって軽販売がもたらす効果は未知数だ。今回の軽販売に伴うトヨタの決定の裏側には、今後の国内販売の方向性を示す「ある意図」が隠されているように見える。
軽を販売する15県の選定理由とは
カローラ店とネッツ店以外に来秋から軽自動車を販売するのは、四国全県と福岡を除く九州全県、青森、秋田、鳥取、島根、沖縄の計15県に位置するトヨタ店とトヨペット店。15県の選定理由としてトヨタは「2008年実績で軽自動車の販売比率が50%を超えている地域」と説明している。
しかし、厳密に各県の軽販売比率を見てみると、この15県のうち50%を超えているのは9県で、残り5県は40%台後半となっている。軽販売比率が40%台後半の県は、今回選定されなかった地域にも多数存在している。
なぜ、トヨタはこの15県選んだのか。
「四国全県」や「福岡を除く九州全県」といった選定方法から推測すると、これらは「地方部の同一商圏」と見ることができる。
内部では「チャンネル統廃合議論もされている」
つまり、今回の選定地域ではチャンネル間での営業拠点統合や併売車種の拡大に踏み切りやすい。このことから、トヨタは軽販売の本格参入を機にチャンネル統廃合のトライアル地域を選定したと見ることもできる。
現在、国内のトヨタ系列販売店は4チャンネル合計で5000拠点を超えている。新車市場が年々縮小しているなか「拠点数に余剰感がある」(トヨタ幹部)との認識はトヨタ内部にも広がっており、実際に「チャンネル統廃合の議論もされている」(トヨタ系列ディーラー)という。
今回の軽販売参入の背景には、トヨタが抱える最大の課題「4チャンネル体制の再編」が見え隠れしている。

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