トヨタ・ホンダ、2段構え 新興国は専用小型、先進国がエコカー

 トヨタ自動車とホンダが「2段構え」の世界戦略を鮮明にしている。新興国向けに小型車を相次いで投入する一方で、先進国では次世代エコカーを拡充する方針だ。新興国では中間所得層が拡大して低価格車の需要が膨らんでいるのに対し、先進国は消費者の環境意識の高まりなどでエコカー市場の成長が期待できるため。市場に応じた車種の展開で、世界的なシェア争奪戦を勝ち抜く考えだ。
 トヨタは今月、インドで新興国向け小型車「エティオス」を発売した。排気量1500ccのセダンタイプで最低価格は49万6000ルピー(約90万円)と、同社の現地最安モデルとなる。来年4月には1200ccのハッチバック車も売り出す予定で、2車種を合わせて年間7万台の販売を目指す。
 インド南部バンガロールにある現地子会社の第2工場で生産。インドから新興国への輸出も検討する。
 豊田章男社長は「インドでも、トヨタならではの高品質のクルマをより多くのお客さまにお届けしたいとの思いで開発した」と意気込みをみせる。
 ホンダも来年、アジア市場専用の小型車「ブリオ」を投入する。タイで来年3月から、インドでは来年中に生産・販売。排気量は1200ccで、最低価格はタイで40万バーツ(約110万円)、インドでは50万ルピー(約90万円)以下に抑える予定だ。
 一方、先進国ではトヨタが、2012年初めまでに日米欧で、家庭用電源で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)の市販を始めるほか、12年に日米欧で小型電気自動車(EV)を発売。ホンダも12年に日米でPHVとEVを投入する計画だ。
 両社がこうした戦略をとる背景には、世界市場が二極化していることがある。経済成長の著しい新興国では消費者の所得向上とともに自動車も急速に普及。例えば、インドでは09年度の販売台数が約248万台と、5年間でほぼ倍増した。市場を支えるのは年収40万~100万円の新中間層で、80万円以下の低価格小型車が売れ筋になっている。
 これに対して、先進国では景気低迷などで自動車市場は頭打ちとなっているが、低燃費車の人気の高まりや環境規制の強化もあってエコカー市場は拡大が見込まれている。民間調査会社のハイエッジによると、HVとEVの20年の世界販売台数は10年の約14倍に達する見通しだ。
 海外勢も新興国では低価格車、先進国ではエコカーの投入を急いでおり、販売競争の激化は必至だ。(本田誠)

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