トヨタ自動車などがトヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)の隣接地に整備したパプリカ農場で、今秋の本格作付けに向けた実証栽培が進められている。効率性を追求するトヨタ生産方式を導入した食物工場は、農商工連携のモデルとしての役割も担っている。
農場はポリカーボネート製の半透明の2重壁を初採用し、採光と断熱性能の向上を両立した。電動高所作業車を導入することでスタッフの負荷を軽減し、作業効率を引き上げた。
室温管理にはトヨタ東日本のガスエンジンの廃熱を利用し、光熱費の削減につなげる。98度に熱した温水をパイプに循環させ、冬季も農場内を24度に保つ。ガスエンジンが停止する夜間には、大型タンクに貯蔵した温水を活用するという。
こうした工夫により、生産コストは従来型の農場に比べ7%程度削減できる見通し。広さ約1.8ヘクタールで年間約315トンを生産する計画で、トヨタグループが宮城県栗原市内で操業しているパプリカ農場2カ所と合わせ、国内生産量の半分を占める計算になる。
新農場は豊田通商(名古屋市)の子会社が出資する農業生産法人ベジ・ドリーム栗原(栗原市)が運営主体となる。来春の初出荷に向け、豊田通商の加留部淳社長は「次代の農業ビジネス創出に向けた試金石になる」と意欲を見せている。