トヨタ自動車は22日、主力の小型車「ヴィッツ」をフルモデルチェンジし、全国発売した。デザインを刷新したヴィッツは、燃費は最高でガソリン1リットル当たり26.5キロと、ハイブリッド車(HV)を除く登録車でトップを達成。トヨタは大手各社が主戦場と位置づける小型車で、低迷する国内販売の底上げを図りたい考えだ。
ヴィッツは国内で140万台以上を売り上げ、世界累計販売台数も350万台を突破するトヨタの基幹モデル。フルモデルチェンジは5年ぶりで、1999年の初代発売以来、3代目となる。
新型ヴィッツは「軽快さと上質感」をコンセプトにスタイルを一新。ゆとりある室内空間を確保したほか、荷室の奥行きも拡大。ハンドルの取り回しなども向上させて、小型車に幅広い使い勝手を求める消費者ニーズに応えた。
従来の購入者は女性が5割を超えていたが、ターゲットを上級車種からの乗り換えを考える中高年の男性まで拡大する狙いだ。価格は106万~179万円で、月1万台の販売を目指す。
また、停車時に自動でエンジンを止めるアイドリングストップ機能を搭載したモデルは、ガソリン1リットルあたりの燃費が26.5キロ。同26キロの日産自動車の「マーチ」を抜き、HVを除いた同クラスの車種でトップに躍り出た。
低価格で燃費性能もいい小型車は、車名別新車販売台数のランキング(軽自動車を除く)でも毎月、上位にランキングする人気カテゴリーだ。このため、各社は主力小型車の新投入でてこ入れを図っている。
日産自動車が7月に発売した「マーチ」はタイで生産する“逆輸入車”として、最低価格を99万9600円に抑えた。燃費26キロのモデルも122万9550円からで、ヴィッツの26・5キロのモデル(135万円)より割安だ。
また、ホンダが10月に「フィット」のHVモデルを追加したほか、マツダも来年には燃費30キロ以上の「デミオ」の新型車を投入する。
ただ、小型車はエコカー購入補助金制度の対象車が多く、終了後の反動減は際だっている。日本自動車販売協会連合会によると、小型乗用車(5ナンバー車)の10月の販売台数は前年比35.1%減、11月は40.1%減にまで落ち込んだ。
縮小する国内市場をめぐって競争が激しさを増す中、主力モデルの「ヴィッツ」で需要掘り起こし狙うトヨタの真価が問われている。