トヨタ自動車の認証不正問題が宮城県内の自動車関連企業に波紋を広げている。認証不正が報告された7車種のうち、ヤリスクロスなど3車種はトヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)が生産を担っていた。トヨタ東日本は3日に3車種の出荷を停止しており、部品取引や販売への影響が懸念される。宮城の自動車業界からは「早く問題を解決してほしい」との声が漏れる。
関連事業者は1000社以上
トヨタ東日本によると、認証不正が報告されたヤリスクロス、カローラフィールダー、カローラアクシオの3車種の出荷台数は年間計13万台に上る。宮城大衡工場(大衡村)で3車種を計4万台、岩手工場(岩手県金ケ崎町)でヤリスクロス9万台を手がける。同社がかつて製造したシエンタの生産終了モデルも認証不正の報告対象となった。
トヨタ自動車は不正が発覚した現行・生産終了の計7車種いずれも安全性能は問題ないとしている。トヨタ東日本は3車種の6月いっぱいの出荷停止を決定。国土交通省による安全性の確認後、生産や出荷を再開する方針だ。
トヨタ東日本によると、2次取り次ぎ以降を含めた部品取引の関連事業者は1000社以上に及ぶ。広報部の担当者は「各社の懸念を丁寧に伺い、補償も含め対応を検討していく」と説明。生産終了したシエンタも含め「(利用者から)問い合わせがあれば安全性を丁寧に説明したい」と話した。
販売店は売り上げへの影響懸念
トヨタ東日本と部品の取引がある宮城県内の製造業者は「仕事に影響する頭の痛い問題だ。トヨタはしっかりと再発防止策を講じ、早く生産を正常化させてほしい」と注文した。
仙台市内のトヨタ販売店は3日から、認証不正が報告された3車種の販売を停止し、受注済みの顧客には納車が1、2カ月以上ずれ込むことを伝えている。
売れ筋のヤリスクロスが含まれており、担当者は「(売り上げへの影響は)相当あるだろう」と懸念する。早期の出荷再開を願うものの「推移を見守るしかない。消費者には待ってもらうか、別の車種を紹介するか、店頭で工夫したい」と困惑気味に語った。