福島県相馬市の子どもたちに地元の漁業と特産品を知ってもらおうと、同市の全小中学校13校で25日、トラフグを使った給食が初めて提供され、約3000人が高級食材を味わった。
メニューは、相馬市で水揚げされた天然トラフグ「福とら」の骨からだしを取り、切り身やネギ、ニンジンをご飯に混ぜ込んだ「ふぐめし」。旬の県産食材を給食に活用する県事業を利用し、市教委が81キロものトラフグの切り身を用意して企画した。
桜丘小では約440人が味わい、お代わりする児童も。5年石塚愛菜(まな)さん(10)は「トラフグは食べたことがなかったので、楽しみにしていた。身が軟らかくて、とてもおいしかった」と満足した様子だった。
同校では相馬双葉漁協ふぐ延縄(はえなわ)操業委員長の石橋正裕さん(45)の食育授業もあった。石橋さんは「温暖化で海水温が上昇した影響で、コウナゴやマダラは取れなくなり、トラフグやイセエビの水揚げが増えている」と説明。地元漁業を盛り上げるために、トラフグの活魚を「福とら」と名付けて全国にPRしていることを紹介した。
相双漁協のトラフグは10月から翌年2月までが漁期。例年より価格はやや安めだが、「漁獲量は昨年並みの32トン程度になりそうだ」(石橋さん)という。