【パリ=板東和正、北京=三塚聖平】ドイツ連邦検察庁は23日、極右政党、ドイツのための選択肢(AfD)に所属する欧州連合(EU)欧州議会議員のスタッフの男をスパイ容疑で拘束したと発表した。欧州議会の情報を繰り返し中国の情報機関に流した疑いがあり、ドイツ政府が警戒を強めている。
発表などによると、男は2019年からAfDのクラー欧州議会議員の下で勤務。ドイツと中国の二重国籍を有しているとの情報がある。
男は長年にわたり欧州議会の交渉や決定に関する情報を中国の情報機関に提供したほか、ドイツにいる中国の反体制派の動向を探っていたとみられている。クラー氏は6月の欧州議会選でAfDの有力候補になっており、独連邦検察庁は「深刻なケースだ」としている。
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フェーザー内相は23日の声明で、事実であれば「欧州の民主主義に対する内部からの攻撃になる」と非難した。独連邦検察庁は22日にも、軍事転用できる技術に関する情報を中国側に渡すためにスパイ活動をした疑いでドイツ人の男女3人を逮捕したと発表した。
中国外務省の汪文斌報道官は23日の記者会見で、ドイツ検察が欧州議会議員のスタッフを中国のスパイ容疑で拘束したことに関して「中国を中傷、抑圧し、中国と欧州の協力ムードを破壊する意図が明らかだ」と反発した。