仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは「中国の風力発電企業はなぜ安全保障上の懸念を巻き起こすのか」と題した記事を掲載した。
記事は、ドイツの再生可能エネルギー開発業者が、ハンブルク近郊の洋上発電所設置を中国企業に委託する計画であるとの報道があったとし、ドイツと欧州連合(EU)の安全保障専門家の間では、中国製風力発電設備がデータセキュリティーの問題につながる可能性があるという懸念が生じていると伝えた。
一方で、ドイツのエネルギー開発業者にとって、18.5メガワット規模のタービンを28年までに納入できるのは中国企業だけである上、政府の補助金などもあって価格面でも無敵であること、欧州の大手風力発電設備メーカーだけでは欧州で拡大する風力タービン需要を満たすことはもはや不可能であることは周知の事実であるとした。
また、ドイツやEUの安全保障当局の懸念に対し、ドイツの開発業者は、タービンの監視、制御、メンテナンスはすべてドイツ国内で行われ、中国メーカーとの直接的なデータリンクはないと強調していることを紹介する一方、「欧州の安全保障専門家にとっては、エネルギーインフラは重要な情報を大量に含む重要なインフラだ。そして、中国企業は国有・民営を問わず、中国政府の任務を遂行しなければならないのだ」と指摘した。
そして、洋上発電所は地表だけでなく海底の情報にも大きく関わっているとした上で、日本政府が4年前に洋上発電所の入札募集に当たり、日本企業か、少なくとも日本に本社を置く企業しか入札に参加できないと明言したことを指摘。外国船が日本沿岸や軍事施設の近くで機密情報を収集するためにこうした入札を利用しないようにするために付加した条件であると説明した。
記事は、海底ケーブルは依然としてデジタル情報を世界中に送信するための最も速く、最も効率的で、費用対効果の高い方法であり、 世界のネット通信の99パーセントが海底ケーブル経由で送信されていると紹介。中国企業が洋上発電インフラ整備の過程において欧州の海底情報にアクセスできるようになれば、EUの安全保障当局にとっての懸念材料となることは避けられないのだと伝えている。(翻訳・編集/川尻)