ドコモ新料金、ライバル他社が拍子抜けする「小粒感」

「もっと大胆なものが出ると思っていたが」。通信最大手NTTドコモが15日、6月1日から導入する新しい通信料金プランを発表した。従来と比べて最大4割安くしたものだが、ライバル幹部たちは拍子抜けした。

 携帯電話料金をめぐっては、18年8月に菅義偉官房長官が「4割程度下げる余地がある」と引き下げを求めた。ドコモは大手キャリアの中で最初に反応し、昨年10月に2~4割値下げして最大4000億円の顧客還元を実施する方針を示していた。

 今年3月には総務省が、高い通信料金と安い端末をセットで販売することを禁止する「通信・端末の完全分離」を盛り込んだ電気通信事業法改正案を国会に提出したばかり。値下げ機運が高まり、ドコモがどんな料金体系を打ち出すかが注目された。

 ついに発表された料金プランの基本的な仕組みは、KDDIとソフトバンクがすでに導入済みの分離プランとほぼ同じ体系。2社の後追いにとどまるものだった。

 新料金体系は、通話料金とデータ料金を一体にしたシンプルな2種類のプランで構成。1つは、月30ギガバイト(=約300億バイト)をデータ利用できる大容量の「ギガホ(月6980円)」。もう1つは7ギガバイトまでの小容量プランで、通信利用量に応じ料金が4段階変動する従量制の「ギガライト(月2980~5980円)」だ。

 家族で3回線以上契約するとさらに月1000円の割引となり、ギガホなら従来プランより3割、ギガライトの最小プランなら従来よりも4割の値下げになる。

● 競合導入済みプラン

 大容量プランと小容量の従量制プランを組み合わせるやり方は、KDDI(「フラットプラン」「ピタットプラン」)、ソフトバンク(「ウルトラギガモンスタープラス」「ミニモンスター」)が導入済み。ドコモのギガホとギガライトは、通話料金の安さが目立ったが、データ料金の枠組みは先行2社との大きな違いは見当たらない。差別化材料になるものといえば、家族割引。他社の契約者を野心的に奪うより、家族ユーザーの囲い込みを強める狙いが透ける。

 携帯契約の2年縛りや、途中解約した場合の9500円の違約金は見直しを期待されていたが、そのまま継続となった。

 携帯端末が安く手に入るようドコモが提供してきた「月々サポート」などの携帯購入補助サービスは、新規受付を5月31日で終了する。6月の新料金導入に前後して、夏モデルのスマートフォン発表会を開き、新しい端末補助のスキームを明らかにする見通しだ。

 総括すると、KDDIとソフトバンクにとって、ドコモの料金値下げは「小粒」で、2社を脅かすほどのものではなかったようだ。

 競合2社は、それでも大胆な値下げ競争を仕掛けるか。それとも10月の楽天参入までは、おあずけか。だとすると、今春から値下げ競争が激化すると期待していた国とユーザーは拍子抜けを食らう。

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