関西国際空港の国際線エリアに昨年12月にオープンした和菓子店で、アジア系の旅行者を中心に、どら焼きが土産物として人気を呼んでいる。海外でも広くアニメ放映されている人気漫画「ドラえもん」の効果で、早くも同店の主力商品に成長。他店でも商品名を「どらやき」に変更し、売り上げを伸ばしている。店側は「ドラえもんのおかげ」と喜んでいるが、人気の背景には、和菓子に対するヘルシーなイメージもあるようだ。
ドラえもんは藤子・F・不二雄さん(故人)原作の漫画。未来から来たロボットのドラえもんが、さまざまな道具を使ってもう一人の主人公、のび太らを助けるという夢のあるストーリーで、ドラえもんの大好物がどら焼き-という設定になっている。
発行元の小学館(東京)によると、アニメは国内だけでなく、韓国や香港、台湾、インド、スペインなど世界30以上の国・地域で放映。マンガも現在16カ国・地域で販売され、各国の子供たちに愛されている。
岡山市に本社を置く和菓子店「源吉兆庵」は12月18日、関空の国際線エリアに出店。当初から大皿に盛ったディスプレーを使ってどら焼きを販売したところ、初日から300個以上が売れた。同店の商品の中でも売れ行きはトップ級で、河野勝美店長(53)は「とても好評。商品を切らさないようにするのが大変です」と話す。
購入者はアジア系の旅行者が中心で、台湾の航空会社に勤務する女性(32)は「ドラえもんの好物だから、ついつい買ってしまう」と笑顔をみせた。
また、国際線エリアの別の土産物店「萬(よろず)」では、これまで「鼓どら」としていたどら焼きの商品名を、昨年秋からずばり「どらやき」と変更。すると、たちまち注目度が上がり、売り上げは、変更前の月の倍近くになった。
ドラえもん人気が好調の理由だが、和菓子に対する好印象もあるようだ。香港から訪れた30代の女性会社員によると「小豆を使ったどら焼きはヘルシーというイメージが強いので、香港でも売れている」という。
いまだ衰えないキャラクター人気で、外国人旅行者にも好評などら焼き。小学館ドラえもんルームの編集者、徳山雅記さん(44)は「ドラえもんの好物が、海外の方にもうけているとは驚き。マンガやアニメを通じて、日本文化が海外に広がることはうれしい」と話した。