ドル指数が3年ぶり高値、イタリア格下げなどでユーロは下落

[ニューヨーク 9日 ロイター] – 9日終盤のニューヨーク外為市場では、米連邦準備理事会(FRB)が他の主要中央銀行が金融緩和を進めようしている局面で資産買い入れ(量的緩和)の縮小に向かうとの見方を背景に、ドルが主要通貨に対して上昇。
ドル指数<.DXY>は一時84.753と、2010年7月以来3年ぶりの高値となった。終盤は0.5%高の84.631。
ユーロ/ドルは、ロイターのデータによると一時1.2754ドルまで下落して、4月初め以来の安値をつけた。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がイタリアのソブリン格付けを「BBBプラス」から「BBB」に引き下げたことや、欧州中央銀行(ECB)のアスムセン専務理事が、先週公表した金融政策の先行き見通しの指針である「フォワードガイダンス」の期間が12カ月を超えるとの見方を明らかにしたことが材料視された。終盤は、0.7%安の1.2781ドル。
終盤のドル/円は0.2%高の101.12円。ユーロ/円は0.6%安の129.22円。
ウェスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズ(ワシントン)のシニア・マーケット・アナリスト、ジョー・マニンボ氏は「世界の中央銀行の政策運営見通しが異なってきていることが、ドル高の核心になっている」と指摘した。
ECBは先週、将来の政策金利にあらかじめコミットしないという従来の政策運営方針を放棄し、主要金利は「長期間にわたって」現行水準かそれを下回る水準にとどまるとするフォワードガイダンスを公表。アスムセン専務理事は9日、ロイターのインタビューでこのガイダンスの「長期間」に関して12カ月超になると語った。ただ、ECBはその後声明を出して、専務理事の発言は金利を過去最低水準に維持する具体的期間を示すことを意図したものではないと説明した。
一方でFRBは、早ければ9月にも現在毎月850億ドル規模で行っている資産買い入れの縮小に乗り出すとの観測が広がっており、投資家のドル買いを促した。FRBの政策運営に関する最新の手掛かりとしては10日に6月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が発表され、バーナンキFRB議長による講演も予定されている。
米商品先物取引委員会(CFTC)が8日発表したIMM通貨先物の取組(7月2日までの週)によると、ドルの主要6通貨に対する投機筋の取組高は買い越し額が急増したが、アナリストによるとなお5月のピークよりはずっと低く、ドルが一段と値上がりする余地があることがうかがえる。
ソロ・キャピタルで為替・投資運用を統括するマンカシュ・ジェイン氏は「現在はモメンタム主導の取引であり、われわれはさらなるドル高を見込んでいる。ユーロが1.2950ドルに向かって戻す局面があれば、新たなユーロのショートを構築する機会になる」と話した。
終盤のポンド/ドルは0.6%安の1.4862ドル。英国の5月製造業生産が低調で、同月の貿易赤字も拡大したことでイングランド銀行(英中央銀行、BOE)が今後追加緩和に動く可能性が増したとみられている。一時は3年ぶりの安値となる1.4812ドルまで下げた。
コメルツ銀行は調査ノートで「ポンド/ドルのショートは依然として有利な取引で、われわれはずっと、米国と英国の経済成長格差がポンド安の確固とした理由になると考えている」と記した。

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