ニッカウヰスキー仙台工場注目 「マッサン」効果

国産ウイスキー造りを題材にしたNHK連続テレビ小説「マッサン」の放映効果が仙台市内に波及している。モデルとなったニッカウヰスキー創業者の竹鶴政 孝が建てた蒸留所の見学者は急増。サントリー酒類(東京)がプロデュースするハイボール専門店も人気だ。この流れに乗り遅れてはいけないと、ウイスキーの 魅力を味わった。(報道部・布施谷吉一)

広瀬川、新川川が流れる山あいに、赤れんが造りの建物が並ぶ。ニッカウヰスキー仙台工場の宮城 峡蒸留所(青葉区ニッカ)は約20万平方メートルの敷地で、大麦を原料にするモルトと、トウモロコシを使うグレーンのウイスキー原酒を造る。華やかで味わ い豊か、バランスを重視している。
「海に近い北海道余市の蒸留所と気候風土が異なる。ブレンドすると違った個性のウイスキーができる」
佐藤学仙台工場長(61)は、46年前に第2の蒸留所として造ったマッサンの思いを代弁する。
蒸留所は無料の工場見学に対応。仕込みや蒸留、貯蔵の製造工程をたどる。試飲も可能だ。昨秋のドラマ開始後、見学者は前年同月比2倍超。2月は約2万人で前年同月の約7000人を大きく上回った。
「最近は首都圏にとどまらず、関西や九州からも訪れる。認知度が上がった」。工場見学などを担当する仙台ニッカサービスの鈴木長成社長(58)は言う。

2013年8月オープン以来、仙台のおじさんたちに愛されるハイボール専門店「HIGHBALL BAR杜の都1923」(青葉区国分町)。16種類のハ イボールが味わえる。「和」「春」を意識したハイボールの提供も始めた。特徴は強炭酸。専用サーバーで注がれるハイボールを飲むと爽快感が口に広がる。
「ハイボールを入り口に、ウイスキーを楽しんでほしい」。狙いが当たり、常連客は増えた。運営会社イーケーシー(東京)東北担当の野村悠也課長(35)は「女性が1人で来店するケースもある」と明かす。
仙台市を含む宮城県の1人当たりのウイスキー消費量は東京都に次いで全国2位(12年度国税庁調査)。消費する文化が根付く環境も人気を後押しする。
「歴史や物語を知ると、楽しみが広がる」とは、仙台国際ホテル(青葉区中央)の笠間修レストラン支配人(38)。仙台で十数人しかいないシニアソムリエの資格を持つ。
お薦めはアードベック10年の炭酸割り。独特のスモーキーな香りが際立ち、癖になる。「一杯飲んで帰る文化をつくりたい。自分に合ったバーを見つけて」とアドバイスしてくれた。

[メモ] (1)宮城峡蒸留所=工場見学は年末年始を除く毎日。受付時間は午前9時~11時半、午後0時半~午後3時半。連絡先は 022(395)2865。(2)杜の都1923=午後5時~午前2時。日曜祝日定休。連絡先は022(721)5161。(3)仙台国際ホテルのバー 「Royal Ascot」=午後6時~午前0時。日曜定休。連絡先は同ホテル022(268)1111。

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