#1.「放送中、私が持っているこのボールペンは日本製ではないかという視聴者の抗議の電話が来ました。日本に対する韓国国民の怒りがどれだけ大きいか実感できます。このボールペンは国産です。9時のニュースは以上です。ありがとうございました」
これは4日夜、KBSのメインニュース『ニュース9』のキャスターがニュースを読み終えた後に言った言葉だ。KBSは翌朝、「『このボールペンは国産です』KBSニュース初の締めくくりの言葉が登場した事情」という見出しで、これを肯定的に紹介したインターネット記事まで出した。すると、ポータルサイト「ネイバー」だけで1000件を超えるコメントが寄せられた。「日本人と結婚した人はみんな離婚したり、追放したりしなければならないのか」「高価な医療機器の90%は日本製だ。手術も受けるなよ」など、ほとんどが冷やかしのコメントだった。「そのニュースを撮っているカメラはどこの製品なんだ」というコメントもあった。KBSのメインニュースの撮影カメラは日本のソニー製だと言われている。
#2.産業通商資源部はソーシャル・メディアに、現在の状況をアジア通貨危機になぞらえ、事実上の反日不買運動をあおる掲示文を掲載したが、二日後の5日に何の説明もなく削除した。産業資源部はこの掲示文に「我々はどんな民族ですか? アジア通貨危機時に結婚指輪や宝石の指輪を売って外債を返済して世界を驚かせた国民ではありませんか?」と書いた。添付された仮想のカカオトークのメッセージやり取り画像には、「本当に頭に来る。やられてばかりいるつもり? やられた分やり返そう」「痛い目に遭わせてやろう」などの表現が盛り込まれていた。産業資源部側は「否定的なコメントがあったので消した」と言った。
韓日の確執が深まり、国内のあちこちで大小の「反日騒動」が相次いでいる。日本製品を持っていたり、直系の家族の中に日帝強占期の下級公務員がいたりすると、そうした理由だけで進歩系・保守系を問わず抗議と非難の対象になる。与党・共に民主党の李海チャン(イ・ヘチャン)代表が食事をする時に日本酒を飲んでいたことをめぐり、与野党が繰り広げた政界の低質な反日攻防が民間にまで広がったという見方もある。
ソーシャル・メディア上では5日、文在寅(ムン・ジェイン)政権高官らの「日本製自動車保有状況」表が飛び交った。康京和(カン・ギョンファ)外交部長官、金顕哲(キム・ヒョンチョル)元青瓦台経済補佐官、李儀卿(イ・ウィギョン)食品医薬品安全処長ら多数の高官が日本車を持っていたという内容だった。確認の結果、この表はおおむね事実だったが、昨年が基準になっており、昨年から今年にかけて車を処分した公職者もいた。ソーシャル・メディアでは「2020応答せよ、親日派の子孫」という画像も飛び交っている。文大統領の父親は日帝強占期に興南市(現在の北朝鮮咸興市興南)庁で課長を務めていた、など与党系の主要人物たちの父親・祖父が日帝植民統治に協力していたという内容だ。
日本車に対して、自動車整備業者の一部が修理を拒否したり、攻撃を加えたりする事態まで発生、車の所有者たちは自己防衛策を取っている。日産の車を持つチョンさん(30)は先日、車に「日本車、廃車に行く」と書かれたステッカーを貼った。チョンさんは「人に会うたびに『今、日本車に乗っていて大丈夫?』と聞いてくるので」と話す。街では「日本車で申し訳ありません」というステッカーも売れている。
「日本製品探し」運動は大韓赤十字社にも飛び火している。「献血した人に配っているイオン飲料が日本の会社のもの」という非難の声や交換要求などがインターネットを通じて5日までで19件、電話で2件あった。赤十字社側は「今回の要望については来年の業者選定で考慮したい」としている。
地方自治団体にも火の粉が飛んでいる。ソウル市中区庁では6日から、主要道路の街灯1100本に太極旗と日本ボイコットのバナーを掲げることにした。城北区庁長は2日、石串小学校でプラカードを持ち、保護者らに対日不買運動への賛同を呼びかけた。九老区庁長は2日、区庁玄関前で職員らと共に日本製品・日本旅行ボイコットを訴えるフレーズが書かれた紙を持って集合写真を撮った。
京畿道は5日から今月末まで、「半導体材料・機器の国産化と海外投資誘致アイデア」コンテストを開くと発表した。すると、「21世紀に国民に自力更生をしろというのか」というコメントが寄せられた。京畿道水原市は日本製品使用や日本旅行を拒否する「新物産奨励運動」を宣言した。水原市のほかにも安養市・軍浦市・始興市・楊州市などが区庁レベルで日本製品の購入を全面中止することにした。
LG経済研究院の李地平(イ・ジピョン)常勤諮問委員は「単なるキャンペーンを超え、地方自治団体の長が国家製品について1カ月以上買わなければ、世界貿易機関(WTO)政府調達協定に抵触し、国益に不利に作用するかもしれない」と語った。