Nielsenが新しくリリースしたレポートは、米国内のスマートフォン利用者についてまとめている。とくに注目しているのは年齢と収入によるスマートフォン所有状況についてだ。どうやらスマートフォンは多様な層に受け入れられているようだ。開発者、パブリッシャー、ないし広告サービスにとってもこうした情報は役に立つ。また低価格化によって低所得者層にも受け入れられつつあるのかどうか、メーカーの今後の判断基準ともなるだろう。
そして受け入れつつあるのかということについて見れば、まさに受け入れられていることが今回の調査で明らかになった。年間所得額が1万5000ドルに達しない層でも、年齢が若い場合にはスマートフォンを利用しているようなのだ。18歳から24歳では、1万5000ドル未満の所得層でも半数以上(56%)がスマートフォンを所持していることがわかった。同じ所得レベルで25歳から34歳の年齢層の場合でもスマートフォン保有率は43%となっている。そして同所得レベルで生活にも金のかかる35歳から44歳の層においても、スマートフォン所有率は31%ということになっている。
ちなみに年間所得が1万5000ドルを超えているということは、彼らの生活レベルは「貧困層」というわけではない(今回の調査では独身か既婚の別や、扶養家族がいるのかどうかについては明らかでない)が、非常に近いレベルにあると言える。2011年の段階では、年間所得1万890ドル以下の層が「貧困層」と考えられていた。年間でほんの数千ドルが加わるだけで、貧困層が突如としてスマートフォンを持つまでに変化しているということになる。
確かに高年齢者層ではスマートフォンの普及率は下がることになる。ただ高年齢者層については、所得レベルが上がってもスマートフォン普及率は下がっているのだ。つまり、今回の調査で明らかになるのは次の事実だ。スマートフォン自体の価格や発生する月額費用に関わらず、スマートフォンというのは贅沢品ではなく必需品として位置づけられつつあるということだ。生活必需品でなければ、年間所得1万5000ドル未満でありながら所有することはあり得ないだろう。おそらくその所得層であればコンピューターも持ってはいないだろう。あるいは18歳から24歳については親がかりの生活をしているということなのかもしれない。しかし25歳から34歳の年齢層でも、低所得ながらスマートフォンを所有しているという結果が出ているのだ。親の財布からは離れ、購入の意思決定も自ら行なっている層のはずだ。
この傾向は年齢別のスマートフォン普及グラフ(smartphone penetration by age)を見ることでより明らかとなる。18歳から24歳の層でも、また25歳から34歳の年齢層においても、ここ3ヵ月以内に携帯電話を購入した人の80%がスマートフォンを選択しているのだ。
ニールセンの調査は「若者に普及するスマートフォン」ということが主なテーマだ。ただ調査からは高齢者であっても所得額が多い場合にはスマートフォンを所持する傾向がある(55歳から64歳の年齢層であっても、年間所得が10万ドルレベルの場合には35歳から44歳で3万5000ドルないし4万4000ドルの所得者層と同程度のスマートフォン所有率となる)ことがわかる。
高齢かつ高額所得者の傾向を、低所得な若者と比較してみるのも興味深い。すなわち高齢者にとっては、スマートフォンはやはり贅沢品であるのだ。所得に余裕がある場合にのみスマートフォンを所有しようとする傾向があるわけだ。
一方で若年層のデータを見てみると、スマートフォンが必需品と位置づけられていることがわかる。他に何らかの犠牲を払っても、スマートフォンを所有しようとしているのだ。
CrunchBase Information Nielsen Information provided by CrunchBase
(翻訳:Maeda, H)