ビール風味が人気となった「お酒」のノンアルコール市場で、飲料各社がカクテル、ワイン、梅酒などの「ノンアルコール版」を相次いで発売する。背景には、若者のアルコール離れや、酒税がかからないため高い利益率を確保できるメリットがあり、ビールの成功に続く“二匹目のドジョウ”を狙う。
サントリー酒類は4日、ノンアルコールカクテル「のんある気分」を発売する。果実に含まれる酸などを使って、酒特有の香りを再現した。カシスオレンジなど3種類(350ミリリットル缶入り)で、希望小売価格(税別)は122円。
アサヒビールも昨年9月、ノンアルコールカクテル「ダブルゼロカクテル」を発売した。業務用の200ミリリットル缶を追加投入したこともあり、今年9月の販売実績は前年同月の14万ケース(1ケース=6リットル換算)を29%上回る18万ケースと好調だった。両社ともに、カロリーをゼロにして女性を中心に需要を掘り起こす狙いだ。
このほか、来月にはサントリーが梅酒風味の「まるで梅酒なノンアルコール」、メルシャンがスパークリングワイン風味飲料「メルシャンフリー スパークリング」を発売するなど、ビール風味以外の酒類に広がってきた。
ノンアルコール市場は、キリンビールが2009年にビール風味の「キリンフリー」を発売したことを契機に始まった。その後、アサヒとサントリーはノンカロリー、サッポロビールは高級タイプの商品を相次いで投入している。
サントリーの推計によると、11年の国内ノンアルコール飲料(一般の清涼飲料などを除く)市場は、前年比34%増の2900万ケースと拡大する見通しだ。11年予測ではノンアルコール飲料市場の9割超がビール風味だが、さまざまな酒類のノンアルコールが大手から相次いで発売されることで、市場はさらに活性化しそうだ。(高橋寛次)