マスクをしていないグループ十数人が札幌市役所を訪れ、応対した職員3人が新型コロナウイルスに感染したことが分かり、物議を醸している。
感染との因果関係は不明だが、グループは、いきなり市長室前に押しかけ、職員らとトラブルになった模様だ。
15～20人ぐらいで市長室の前の通路に突然乗り込んできて
グループが市役所を訪れたのは、2021年6月30日だった。
市の秘書課にJ-CASTニュースが7月8日に聞いたところでは、グループは、15～20人ぐらいで市長室の前の通路に突然乗り込んできて、事前の約束もなしに、秋元克広市長との面会を求めた。
秘書課長が秋元市長に会わせることはできないことを説明し、危機管理対策室によると、秘書課長は、まず相談窓口として市民の声を聞く課に案内した。市では、グループに対し、マスク着用やパーテーション越しの対応を依頼したが、グループは拒否したという。
グループ側は、マスクを強要しないことなどを市に求めてきており、対策室の職員3人がとりあえず会議室で応対し、話し合いが1時間ほど続いた。ワクチンの担当に会わせることも求めたが、担当者がそのとき不在だったため、ワクチンのことは話していないという。さらに、グループが市教委との面会も求めたため、その職員2人が加わり、30分ほど話し合うなどして応対が終わった。
その後、グループと話し合った職員計5人のうち3人が、PCR検査の結果コロナ陽性になったと7日に市が発表した。3人は、8日昼過ぎ現在は、軽症か無症状だといい、宿泊療養施設に入っている。他の2人は、濃厚接触者として自宅待機中だ。
感染は、グループとの接触が原因かは不明で、グループの誰かが咳き込むなど体調が悪かったとの報告は受けていないという。北海道文化放送（UHB）の8日付ウェブ版記事などでは、3人は、感染力が高いインド型変異ウイルス「デルタ株」の疑いがあると報じられている。
ツイッター上では、グループの1人だというユーザーが、市役所に押しかけたと同じ6月30日に、その様子を投稿していた。
秘書課長から暴力とのツイートもあったが、課長側は全面否定
その投稿によると、グループでは、十数人の市民でコロナ対策とマスク差し止めを求めて、マスクをせずに札幌市役所に出向いた。
しかし、市職員らが高圧的な態度を取ったうえ、グループが騒いでいるとして警察を呼び、グループは、市役所内をたらい回しにされたという。
職員らに名刺をお願いすると、持っていないと言われ、代わりに名札を動画で撮影しようとした。すると、秘書課長に突き飛ばすように叩かれて携帯電話を落としてしまい、動画が終わってしまったという。
他のメンバーが「暴力を振るわないで下さい」と訴えると、秘書課長は、グループの方が顔にカメラを近づけたうえ、先に暴力を振るったと反論した。
これに対し、投稿者は、顔にカメラを近づけておらず、叩いたことへの謝罪もなかったと主張している。
とはいえ、なぜ「ノーマスク」で市長室にアポイントもなしに押しかけるようなことをしたのだろうか。J-CASTニュースでは、このユーザーに取材を申し込んでいるが、現時点で返答はない。
札幌市の秘書課では、「当日のやり取りの詳細については、守秘義務もあり、全てをお答えすることはできません」としたうえで、グループに対しては、「市の庁舎管理の規則等に基づいて、必要な対応した」と説明した。秘書課長が暴力を振るったとユーザーが主張したことに対しては、「『叩く』など暴力行為に該当するようなことは一切しておりません」と否定している。
市では、今回の件を受けて、マスク未着用の場合は退去してもらうことなども検討中だと報じられており、秘書課でも、「庁舎の危機管理について見直す必要があると考えている」と取材に明かした。
なお、同一ともみられるグループが、札幌市を訪問する前日の6月29日に、北海道庁を訪れ、道教委も含めて職員12人が応対し、因果関係は不明だが、その後にうち3人がコロナ陽性になっている。道の職員厚生課が取材に明かした。3人とも、7月8日昼過ぎ時点では軽症だという。
（J-CASTニュース編集部 野口博之）
