ノーモア疑惑判定!ハイテク導入再検討へ

南アW杯で深刻な誤審が指摘されている問題で、国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター会長(74)は29日、ビデオ判定を除くハイテク導入を再検討する意向を明らかにした。機械化の導入を否定していたこれまでの見解を撤回。7月下旬に競技規則改定を協議、決定する国際サッカー評議会(IAFB)で議題とすることを明言した。
 衛星中継されるテレビの画面を通じ、世界中のお茶の間に届けられる「疑惑」「誤審」のシーン。FIFAのトップ、ブラッター会長も見過ごすことはできなくなった。
 同会長は新技術の導入がIAFBで議題に挙がることを明言、「再検討しないことは道理に合わない」とした。
 問題となったのは27日に行われたW杯決勝トーナメント1回戦2試合での判定。ドイツ-イングランドでは、イングランドのMFランパードが放ったシュートがクロスバーに当たって落ち、得点と認められなかったが、再生映像では明らかにゴールラインを越えていた。また、アルゼンチン-メキシコではオフサイドの位置にいた選手の得点が認められ、アルゼンチンの先制点となった。ブラッター会長はこの問題でイングランド協会とメキシコ連盟にそれぞれ謝罪したことを明らかにした。
 同会長はこれまで、ミスを「人間のエラーも試合の一部」として、判定補助としてテクノロジー導入には一貫して反対してきた。競技規則改定を決定するIAFBは、FIFAも加入する唯一のサッカーのルール決定機関で、3月にもビデオ装置などの判定の機械化を圧倒的多数で否決している。
 同会長は、マイクロチップをボールに埋め込んでゴールラインを通過したかどうかを判定する方法などへの再検討には前向きとしながらも、ビデオ判定の導入は強く否定している。前日には世界約40カ国のプロ選手約5万人が加盟する国際プロサッカー選手協会が、FIFAにビデオ判定導入を要求したが、FIFA側は「微妙なプレーの映像の再生は明らかな間違いだった」と対応。大会の各スタジアム責任者に、大型スクリーンでのプレー再生も禁止する指示を出していた。

タイトルとURLをコピーしました