タレントの木下優樹菜が11月初旬に女児を出産後、インターネット上で「茉叶菜(まかな)」と名づけたことを発表した。
「ハワイ語で『大切な贈り物』という意味。ハワイで知り合った友達から偶然ヒントをもらって……画数、総画を出して、やっとこれに決まったの」
元ダンサーで、浜崎あゆみの“元カレ”としても知られる内山麿我(まろか)は10月、第1子となる女児をハワイ語で「天使」を意味する「愛音來(あね ら)」と命名。タレントのはしのえみも10月に出産した女児に、ハワイ語で「家族」や「心の絆」という意味を持つ「おはな」と名づけた。
ハワイ語は言語学上はポリネシア語派に属す。8世紀以降、タヒチなどから移住したポリネシア人によってハワイ全域で話されるようになった。1898年に 米国に併合されて学校教育での使用を禁じられ、廃れてしまった。そうした歴史を持つ言葉がなぜ今、日本の子どもの名前に?
リクルートマーケティングパートナーズによると、2010年以降、ハワイで挙式するブームが顕著になった。現在、海外挙式の場所としてハワイを選ぶカップルは67%にのぼり、「圧倒的人気」という。
「ハワイは遊べるスポットが豊富で、参列者が結婚式以外の時間も楽しめる。日本語が通じやすく、安全なイメージも人気が高い理由では」(同社)
挙式ブームが命名ブームにつながった可能性はある。そう指摘するのは、ある育児雑誌の編集長だ。
「昔から『ハワイ=楽園』というリゾート的なイメージは強かったですが、人生における幸せの絶頂と言える挙式場所として定着したことで、『幸せの象徴』という印象が強まった。子の幸せを願う思いから、ハワイ語での名づけは今後も増えるかもしれません」
『キラキラネームの大研究』(新潮新書)の著者、伊東ひとみさんは別の視点から分析する。
「ハワイ語には日本語の響きに共通する面があり、あからさまに外国語を使った感じがしないから、抵抗なく採り入れやすいのでは」
名づけの文化史に詳しい京都文教大学の小林康正教授の見方はこうだ。
「個性的な名前をつけたいという潮流の中で、今や欧米由来の名前は珍しくなくなってきた。流行に乗っかるのでなく、むしろ『ずらしたい』という思いから、身近な外国でもあるハワイ語に着目したのでは」
ハワイが「幸せの象徴」であり続けますように。