バイオ燃料生む微細藻類 ベンチャーが石巻沿岸で培養計画

 仙台市のベンチャー企業、スメーブジャパン(原芳道社長)は東日本大震災で甚大な被害を受けた石巻市の沿岸部で、バイオ燃料やサプリメントの原料を生み出す微細藻類「ナンノクロロプシス」の培養事業を始める計画を14日、明らかにした。施設建設に関し地元漁業者と交渉した上で、年内の事業着手を目指す。
 計画によると、総事業費は約2億円。宮城県や石巻市、東北大、石巻専修大などと共同研究を進める。深さ25センチの培養プール約4000平方メートルを設置し、年間30トンを生産して売上高1億5000万円を目指す。複数の社員の地元雇用も検討している。
 操業開始後5~10年は海産魚の餌となるワムシ類飼料やサプリメント、健康食品などの生産に重点を置く。バイオ燃料の効率的な生産に向けた研究も並行して行い、将来は耕作放棄地などでの事業化も視野に入れる。
 ナンノクロロプシスは水質浄化能力を持つ微細藻類。直径5マイクロメートル程度で、水温8~18度の冷水域でより多くの油分を蓄積する。同社の事前調査で石巻市の金華山沖が栄養分や水温などの生産条件面で適していることが分かり、2009年夏から市と交渉していた。
 原社長は「バイオ燃料の効率的な生産が実現すれば、被災地の復興につながる」と話す。

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