バス・地下鉄 経営戦略連動 仙台市交通局、新事業計画策定へ

仙台市交通局は11日、バス事業と地下鉄事業の経営指針を一本化した「市交通事業経営計画(仮称)」の策定に乗り出した。計画期間は2021~30年度の10年間。総務省が公営企業に策定を求める「経営戦略」に位置付ける。地下鉄事業の経営計画策定は初めて。バス事業と連動した中長期の経営戦略を描き、公共交通体系の将来像を示す。
 11日は学識経験者や公認会計士、交通の専門家ら5人の検討委員会を設置し、新型コロナウイルス感染防止のため、ウェブを通じて初会合を開いた。
 市交通局は計画の骨子を提示し、バス事業は運賃水準の検討が「喫緊の課題」と指摘。利用客が極めて少ないエリアは、乗り合いタクシーなどへの転換を図る必要性にも言及した。
 8月に計画の素案をまとめ、12月に中間案を作成し、パブリックコメント(意見公募)を実施。来年2月に最終案を取りまとめ、3月末の策定を目指す。
 バス事業は経営健全化団体への転落回避のため、運行量を段階的に5%削減する経営改善計画(17~21年度)を実行中だが、1年前倒しで終了させ、新たな経営計画に統合する。
 地下鉄事業は今年12月に開業5年を迎える東西線の利用者数が、いまだ開業時の需要予測8万人に届いていない。建設に伴う企業債の償還が本格化し、計画期間の10年間で700億円以上と見込む。南北線は24年度以降、新車両の導入など大規模投資が控えている。
 一方、バス事業は全路線が赤字で、一般会計の補助金に大きく依存するなど課題を抱える。大型2種免許の所有者が減少し、運転手確保も難しくなっている。
 市交通局経営企画課の浅野真晴課長は「地下鉄とバスは企業会計が異なる別事業だが、乗り継ぎサービスなど連携する部分は少なくなく、一つの計画で経営指針を示した方が市民に分かりやすい」と説明する。

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