新型コロナウイルスの感染拡大による中国からの訪日客減少の影響が、全国の観光地で深刻になってきた。感染の収束は見えず、関係者は不安を募らせている。
【写真】大阪城天守閣では、チケットを求める券売機(右下)に行列ができることが少なくなった=大阪市中央区
大阪・ミナミの黒門市場。2月中旬、外国人客らで混み合うはずの夕方でも人出は少ない。ホタテなどをその場で食べられる鮮魚店では、客の約7~8割を占めた中華圏の客が大幅に減り、「客足は半数以下になった」(男性従業員)。和牛などの串焼きを売る店でも約9割を占めた中華圏の客が急減し、客足が約1割にまで減ったという。
黒門市場商店街振興組合の吉田清純副理事長は「2月に入ってガタガタと客足が減った。このまま続くと厳しく不安だ」と話した。
来場客の6割を外国人が占める大阪城天守閣でも、2月は1日平均約4100人で前年同月より4割減った。日韓関係の悪化で韓国人客が激減している中で、中国人客の減少が追い打ちをかける形で、担当者は「かなりの大打撃だ」とこぼす。
全国各地に訪日客を運んでいたバス会社の経営も直撃する。「絶望的に仕事が減った。今後生き残れるかどうか心配だ」。日本城タクシー(大阪市)の坂本篤紀社長はため息をつく。
関西空港で入国した中国人団体客を富士山や東京を経て成田空港から帰国させるツアーなどを運行してきた。1月下旬からキャンセルが出始め、2月上旬には東南アジアなども含めて海外からの客がゼロに。会社の売り上げの4割を占めるバス部門は前年比9割減った。