バブル崩壊から20年 労働時間14%減

 バブルが崩壊し、日本が長期低迷へ向かう転機となった1991年から今年で20年。この間、働く時間は14%も減少、持ち家率も上がり、かつて「ウサギ小屋に住む働きバチ」といわれた日本人像は過去のものとなった。半面、65歳以上の一人暮らしは3倍近い463万世帯と急増、家族や会社を中心に結び付いてきた社会の枠組みが大きく様変わりした。この20年、日本は何を得て何を失ったのか。各種統計から検証した。
 生活関連のデータから見えるのは、日本を悩ませてきた内外価格差や働き過ぎといった高度成長期の課題が解消に向かったことだ。労働時間は92年の時短促進法施行などもあって20年前の年2023時間から1733時間へと大幅に減った。
 内外価格差は流通分野などで効率化や規制緩和が進んで縮小。バブル崩壊による地価の下落や低金利もあって住宅取得も伸びた。中高年以上の多くは一定の「ゆとり」が感じられるようになったといえる。
 ただ、グローバリズムの進展で企業が人件費の抑制に力を入れたことから非正規雇用が急増、雇用者全体のうち4人に1人が年収200万円以下となるなど「一億総中流」が崩れ始めている。一人暮らし世帯も4割増の1195万世帯と、全世帯の4分の1を占めるようになった。
 この20年のキーワードの一つは「内向き」だ。若者の海外志向は低下し、99年度に151人いた米ハーバード大学・大学院の日本人留学生数はたったの5人に減った。企業活動も守り中心。稼いだ利益を新規事業や研究・開発に回さずにため込む「内部留保」は大手企業で268兆円と2倍に膨れ上がった。
 環境、バイオ、医療、介護ロボットなどの分野への期待は高く、国内にはそれに応えられる先進技術がある。企業や家計に眠る巨額マネーや、優秀な人材をこうした新市場に誘導し、新たなビジネスモデルを築けば日本再生のきっかけとなる可能性もある。

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