パナソニック、容量拡大のEV用電池が量産準備完了 和歌山工場で

Maki Shiraki Daniel Leussink

[紀の川市(和歌山県) 9日 ロイター] – パナソニックホールディングス(HD)傘下で電池事業を手掛けるパナソニックエナジーは9日、和歌山工場(和歌山県紀の川市)で電気自動車(EV)用円筒形リチウムイオン電池セル「4680」の量産準備が完了したと発表した。4680の量産は初めてで、量産開始の時期は未定だが、顧客の自動車メーカーによる電池の最終評価が終了次第、量産を始める。

パナソニックHDの楠見雄規社長は同日の工場改修に伴う式典で、4680は「事業戦略上の重要な製品」と指摘し、従来品からの大型化を実現することで「容量を従来の約5倍に向上させつつも、高い品質と信頼性を確保するために、素材や機構設計に加え、製造技術を磨き上げた」と説明。自動車メーカーの「電池セル搭載の容積効率を向上させ、EVの普及拡大に寄与すると確信している」とも述べた。「その手があったか」を実感

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4680の容量は、同社の従来セル「2170」の約5倍と大きいことからEVの航続距離が延ばせる上、搭載するセルの数も減らすことができ、セル同士をつなぐ作業が少なくなり、組み立て工程の効率化やEVコストの低減が期待できる。

パナソニックエナジーの只信一生社長は式典後、記者団に対し、EV市場の成長ペースは足元で「緩やかだが、中長期的には拡大する」との見通しを示し、「商品のバリエーションを広げることでビジネスのオポチュニティー(機会)を増やす」と語り、まずは「数ギガワット時(GWh)くらい」で量産をスタートさせたいとした。

只信社長はまた、円筒形電池は「ケミカル(材料)を変えることでパフォーマンスを変えられる」として材料や構造、容量などを柔軟に変化させることでEVだけでなく、プラグインハイブリッド車向けにも適用可能だと話した。

和歌山工場は、海外の工場に生産の技術・ノウハウなどを展開するマザー工場と位置付けており、2024年度中には従業員約400人が次世代電池の開発・生産に従事する予定。同社の車載用円筒形リチウムイオン電池の国内生産拠点は、和歌山工場のほか、住之江工場(大阪市)、貝塚工場(大阪府貝塚市)、海外は米EVメーカーのテスラと共同運営するネバダ州の工場がある。

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