[大阪 4日 ロイター] – パナソニック<6752.T>で、AV(映像・音響)機器を統括する宮部義幸常務は4日、ロイターなどのインタビューに応じ、赤字の携帯電話事業について「切り出しは今のところ考えていない」と述べて売却に否定的な考えを示した。
今年4月から、AV機器事業に携帯電話部門を統合した。通信技術を生かしたAV機器の開発を強化するとともに、法人向け(B2B)のスマートフォンを日米で展開する予定で「モバイル通信機器事業から距離を置くつもりは一切ない」と述べた。
B2B向けのスマホは、振動・衝撃・水滴などに耐性のある「堅牢」シリーズを米国市場から投入していく計画。利益率の好調なノートパソコン「タフブック」に続くB2B事業に育てる考えという。
携帯電話事業は2012年度に81億円の赤字を計上。13年度は11億円の赤字に圧縮する計画。
ただ、スマートフォンを供給しているNTTドコモ<9437.T>は今夏の商戦で ソニー<6758.T>製と韓国サムスン電子<005930.KS>製の2機種だけの価格を引き下げて強化モデルとして販売する「ツートップ戦略」を5月に発表。
これに対して宮部常務は「あまりに突然の発表だった」と指摘。その上で「どのようにリカバーするか対策を検討している」とした。ただ、今期の赤字額が膨らむかどうかについては「どのような影響がでるかは精査中」と述べるにとどめた。
ソニー <6758.T>と量産技術を共同開発している有機ELパネルの事業化については「(2015年度)までの中期経営計画の中で少しはやっていきたい」と述べた。量産技術は今年度中に確立する計画で「ユーザーを含めた複数の会社と一緒に事業を立ちたい」と述べ、利益の見込める商品のあり方を検討していることを明らかにした。
(ロイターニュース 村井令二)