英科学誌ネイチャーは20日号で今年話題になった10人を特集し、万物に質量を与える「ヒッグス粒子」の探索実験が行われている欧州合同原子核研究所(CERN、スイス)のロルフ・ホイヤー所長らを選んだ。巨大加速器を使った国際実験には日本からも多くの研究者が参加し、7月にはヒッグス粒子とみられる新粒子が見つかったと発表された。
「ヒッグス粒子発見」の期待が高まり重圧となる中、実験リーダーらは慎重を期して発表を年末にしたい意向だった。しかし、ホイヤー所長が表現を工夫して成果の発表にこぎつけた手腕を同誌は評価した。
また、強毒性鳥インフルエンザウイルスがわずかな変異でヒトと同じ哺乳類に感染しやすくなることを実験で示したオランダ・エラスムス医療センターのロン・フーシェ博士も選ばれた。同博士や河岡義裕東京大教授らが論文を発表しようとしたところ、テロ組織などによる悪用を懸念する米当局に一時阻まれ、研究を自主停止する騒ぎになった。