仙台市青葉区の再開発ビル「アーバンネット仙台中央ビル」の低層部にビジネス拠点「YUI NOS(ゆいのす)」が開設され、1カ月が過ぎた。コワーキングスペースやスタートアップの支援窓口などが入り、利用者は週平均30~40人に及ぶ。見学者やイベント参加者も多く「起業の街」に向け滑り出しは順調だ。
ゆいのすは3月14日のビル開業と同時にオープンした。「結」「巣」から想起し、多様な人や思いの結節点となるよう命名された。
1階にイベント空間のイノベーションスペース、2階にコワーキングスペース、3階にシェアオフィス、4階に貸し会議室が入る。2階には起業相談に応じる市の「仙台スタートアップスタジオ」の窓口があり、利用者のさまざまな相談に対応するスタッフもいる。
1日単位の利用(1100円)のほか、会員制の長期利用(月8800円~)も10の法人や個人事業主が登録する。市によると、相談件数は既に16件で「想定通り」(担当者)の反応という。見学やイベント参加も計1136人に達した。
ゆいのすを運営するATOMica(アトミカ、宮崎市)共同最高経営責任者の嶋田瑞生さん(29)は「地域の人々との接点を増やし、人と人を結ぶ『ゆいのす』の価値を知ってもらいたい」と話す。
「地域との多様な接点をつくる」 運営会社の嶋田瑞生さん
[しまだ・みずき] 1994年、仙台市生まれ。東北大経済学部卒。在学中に起業し、大手IT企業ワークスアプリケーションなどを経て、2019年にアトミカを設立。23年5月から現職。29歳。東京都在住。
仙台市青葉区のアーバンネット仙台中央ビルに開設され、1カ月が過ぎたビジネス拠点「YUI NOS(ゆいのす)」を運営するATOMica(アトミカ、宮崎市)は、全国で延べ31のコワーキング施設を運営する。「ソーシャルコワーキング」を提唱し、利用者は小学生から高齢者までと幅広い。共同最高経営責任者(CEO)の嶋田瑞生さんは、ゆいのすに関し「地域との多様な接点を積極的につくりたい」と語る。(経済部・三浦光晴、横山浩之)
-アトミカの事業は。
「企業や大学、自治体の施設をコワーキングスペースとして受託運営し、インターンの企画や実施などにも取り組んでいる。施設運営のために独自開発したシステムや、支援サービスの提供も行っている」
-ソーシャルコワーキングとは。
「施設を公民館やカルチャーセンターのように使っている例もある。頼り、頼られる関係性を増やすことが当社のミッション。場の提供にとどまらず、地域課題の解決に向け、多様な交流・共創を生むコミュニティーづくりを目指す」
「ゆいのすはスタートアップ支援、事業創出など産学官連携のハブとなる場所だ。各地で展開してきた課題解決、マッチングのノウハウを役立てていく」
-市都心再構築プロジェクト第1号となった再開発ビル内で、ゆいのすは多くの市民の利用を見込んでいるスペースだ。実際に運営してみての印象と展望は。
「これまで携わってきた中でも最大級の施設。相当の覚悟で臨んでいる。始まったばかりだが、利用状況は良好で見学の問い合わせも多い。手応えを感じている。私たちの事業で地域との接点は重要。ビル周辺には仙台朝市や仙台銀座などがある。地域に出て行き、にぎわいの創出や交流形成に関わっていきたい」