ビタミンCで風邪も撃退! 60度程度の緑茶なら壊れにくい

加齢とともに皮膚はたるんでシワも生じやすく、カサカサと乾燥しがちになる。骨と骨をつなぐ関節も痛い。そんな皮膚や靱帯などに関わるのがタンパク質の一種であるコラーゲンだ。肉や魚、大豆などのタンパク質を食べると体内で分解されたアミノ酸からコラーゲンが作られる。この合成に欠かせないのがビタミンCである。

体内で老化を後押しする活性酸素を除去するなど、ビタミンCは抗酸化作用にも優れ、「美と健康」の立役者として知られている。ところが、ほとんどの人はビタミンCの量が足りていない。

「ビタミンCは野菜や果物などに含まれますが、毎日それらをたくさん食べていても不足している人が多いのです。ビタミンCは熱に弱く水に溶け出やすいため、調理で含有量が減っていることも、ひとつの要因と考えられます」

こう指摘するのは、東海大学医学部付属東京病院の西崎泰弘病院長。抗加齢医学の臨床研究を長年行っている。

厚生労働省の「日本人の食品摂取基準(2015年版)」では、30歳以降のビタミンCの推定平均必要量(mg/日)は男女ともに「85」だが、推奨量は「100」。16年「国民健康・栄養調査」の平均値は「89」と、必要量はキープしていても推奨量には足りていないことが分かっている。少々足りないくらいが良さそうだが、そうではない。不健康につながるのだ。

「ビタミンCが不足すると、老化が加速するのはもとより、免疫力が低下しやすくなり、がんなどの病気につながります。粘膜の働きも弱まるために風邪もひきやすいと考えられているのです。風邪予防に対して私たちは、1日1000ミリグラムのビタミンCの摂取をお勧めしています」

健康を維持するには、食品摂取基準の推奨量の10倍が目標。ビタミンCを多く含む食材は、アセロラ、キウイフルーツ、レモン、オレンジなどの果物や、ブロッコリー、パセリ、ジャガイモ、サツマイモの野菜類などいろいろある。たとえば、果肉が緑色のキウイフルーツ1個(100グラム)あたりのビタミンC含有量は約70ミリグラム。2個食べると1日のビタミンCは100ミリグラムを超えるが、1000ミリグラムとなると山ほど食べないといけないので難しい。

「体内の余分なビタミンCは排泄(はいせつ)されてしまうため、一気に食べても意味がない。1日3食の中で、こまめに果物や野菜から補うことが大切。それが、体内のビタミンCをキープするコツといえます。緑茶にもビタミンCが含まれるのでお勧めです」

緑茶は60度程度のぬるめの湯で入れると、ビタミンCを保ちやすいそうだ。水出し緑茶もOK。外食などの機会が多く毎食ごとに野菜や果物を摂るのが困難な場合は、サプリメントを活用するのも一考。

「サプリも一気に取るのではなく、1日の適量を小分けにするのがポイントです。これから風邪のシーズンも到来するため、こまめにビタミンCを補給することを心掛けましょう」

栄養素としては最も身近な成分のビタミンCだが、意識しないと不足してしまうことを覚えておこう。(安達純子)

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