ビッグモーター「幹部に部下の生殺与奪権」組織の方針示す『経営計画書』入手

中古車販売大手『ビッグモーター』の修理費用の水増しによって、保険金の不正請求を受けた大手損保3社は、保険契約者が使う必要がない保険を使って修理をしたことで、等級が下がったケースを調査して、もともとの等級に戻す作業を始めていることが分かりました。

東京海上ホールディングス・永野毅会長:「報道されていることが本当に事実だとすると、我々の想定を超えたことが起こっていると感じます」

調査委員会の報告書で「経営陣に盲従し、忖度(そんたく)するいびつな企業風土」と指摘されたビッグモーター。組織の方針などが記された『経営計画書』を入手しました。会社が毎年、すべての社員に配る冊子です。

元社員:「経営計画書というものを毎朝唱和するものがあるが、そこに社長の名前が書いてあるので、社長の意思だと思います。間違いなく」

『経営の原点12カ条』にはこう掲げられています。

「目標達成のためには、潜在意識に透徹するほどの、強く持続した願望を持つこと」

「経営には、いかなる格闘技にも勝る激しい闘争心が必要」

組織に関する方針の項目には「能力と考え方」と題した表があります。「能力」は文字通り仕事の能力、「考え方」とは、会社と社長の意思に従えるかどうかを示しています。能力が〇、考え方は×の人に対しては…。

「会社と社長の思想は受け入れないが、仕事の能力はある。今、すぐ辞めてください」

さらに人事について、こんな記述も…。

「経営方針の執行責任を持つ幹部には、目標達成に必要な部下の生殺与奪権を与える」

元社員:「独裁的な絶対君主制みたいな感じなんだろうと思った」

この経営計画書について、ビッグモーターはこう回答しています。

ビッグモーター:「会社と社員のベクトルを合わせる目的で記載した内容となります。表現が過激であるという外部からのご指摘もあり、表現の変更も含め、検討しております」

規定は、業務外の行動にまで及んでいました。

「社員旅行や親睦会などの会社行事の不参加者は、人事評価を下げる」

「結婚式は、売り出し日を外して予定を組む」

そして、ビッグモーターで人事評価の重要な指標となっていたものが『環境整備点検』です。副社長らが店舗を視察し、掃除や備品などの管理をチェックするイベントです。

「職場環境が整備できない役職者はカド番、もしくは更迭する。リーダー失格」

元社員:「感じていたのは“(従業員の)服従度をはかるために来ていた”。知ってる限りでも2~3人、その場で突然クビと言われた人もいる。『歩き方が悪い』と女の子がクビになったり」

調査委員会も報告書で「環境整備点検」を厳しく批判していました。調査委員会報告書:「従業員らにとって、環境整備点検は、スーツを着たお偉方が上から目線で難癖をつけるだけのイベントになっていたのであり、そのような状況下で経営陣に現場の声が上がってくるはずがない」

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