ビッグモーター現役社員らが明かす「″兼重親子″が辞めてもパワハラ体質は変わっていません」

「トップが代わっても、現場は何も変わらない。今も上司の気分次第で、理不尽な暴力が普通に行われています」

こう語るのは、現在もビッグモーターで勤務する現役社員のAさんだ。

兼重宏行前社長(71)、息子の宏一前副社長(35)が退陣し、和泉伸二新社長(54)のもと再スタートを切ってから1ヵ月が経過したビッグモーター。しかし、信頼を失った代償は大きく、厳しい状況が続いている。8月下旬、本誌が東京・国立市にある店舗を訪れると、客足はまばらで、展示スペースも半数ほどが空いており、店内は閑散とした状況だった。

さらに現場からは今も悲痛な叫びが上がっている。冒頭のAさんが続ける。

「客足が遠のいて以降、上司のパワハラは酷(ひど)くなるばかりです。成績は落ち込む一方で、上司は常に不機嫌。そんななかで退職者が相次ぎ、店舗で自分が一番若手になったこともあり、標的にされました。理不尽な理由で怒鳴られるなんてザラ。全員の前で『荷物をまとめて出ていけ! お前の居場所はない!』と𠮟責されたこともありました。憤りとやるせなさで、とにかく辛かったです」

現在は、過剰なノルマは廃止されている。しかし、長年の間培われた体質は、簡単に改善することはないようだ。

「上司に暴力を振るわれることも増え、殴られた箇所には大きな青アザができました。8月に入って環境整備点検と呼ばれる本部の視察はなくなったんですが、炎天下で一日中草むしりさせられたこともあります。こんな体質はこれからも変わらないと思います」(同前)

和泉新社長は就任当初、社員の社用携帯のLINEアカウントを停止し、パワハラの温床だったグループLINEを削除した。しかし、このグループLINEが個人のアカウントで復活している。Aさんと別の現役社員によると、今も昼夜を問わず店長から売り上げについての恫喝まがいの暴言が送られてくるという。

また別の社員は、「店長が店を私物化しており、個人的な好き嫌いでインセンティブの付け替えをしている」と証言した。

8月下旬、和泉新社長は社内向けにビデオメッセージを発信。「コンプライアンスを最優先にする会社に変革する」と宣言した。しかし、改善の兆(きざ)しは見えない。

自動車生活ジャーナリストの加藤久美子氏は厳しい言葉を向ける。

「現状、改革が末端まで徹底できているワケではありません。確かに体質改善には長い時間が掛かりますが、和泉社長には最後までやり抜く責任があります」

社員を蔑(ないがし)ろにし続ける限り、真の意味で経営再建を果たすことは不可能だ。

『FRIDAY』2023年9月15・22日号より

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