ピース又吉直樹、『火花』が芥川賞 羽田圭介氏とW受賞

日本文学振興会は16日、『第153回芥川賞・直木賞(平成27年度上半期)』の選考会を東 京・築地「新喜楽」で開き、芥川龍之介賞にお笑いコンビ・ピースの又吉直樹(35)の『火花』(文藝春秋)と羽田圭介氏の『スクラップ・アンド・ビルド』 (文學界3月号)を選出した。芸能界から選出されたのは、歌手・辻仁成の『海峡の光』(第116回)、歌手・町田康の『きれぎれ』(第123回)以来で、 お笑い芸人としては初の快挙となった。

<本日>ピース・綾部、コンビ格差拡大に恐怖も「期待している」

『火花』は1月7日発売の月刊誌『文學界』2月号に掲載され、同誌が異例の増刷されるほどの話題に。3月11日に発売された単行本も重版が続き、32万部を売り上げ今年上半期のBOOKランキングの4位に入る大ヒットを記録し、現在も売れ続けている。

同作は、新鋭作家の純文学作品に与えられる『第28回三島由紀夫賞』にもノミネートされており、惜しくも受賞は逃したものの、受賞した上田岳弘氏の『私の恋人』と最後まで競り合う高評価を得ていた。

この日、発表前にイベントに出席した又吉は「(受賞は)リアルに考えると難しいんじゃないか」と厳しい表情を浮かべるも、「取ったときは何も考えず喜べると思う。難しいと思うが、期待はしたい」と心境を語っていた。

又吉は1980年6月大阪府寝屋川市生まれ。2003年に綾部祐二とピースを結成。2009年に自由律俳句集『カキフライが無いなら来なかった』(せきしろとの共著/幻冬舎)を出版。芥川賞は初ノミネートで選出された。

羽田氏は1985年10月東京都生まれ。明治大学商学部卒業。2003年『黒冷水』で第40回文藝賞を受賞。単行本は同年に河出書房新社より刊行。著書は06年『不思議の国のペニス』(河出書房新社)、14年『メタモルフォシス』(新潮社)など。

芥川賞は昭和10年に制定。芥川賞は新聞・雑誌に発表された純文学短編作品を対象に優秀作を選定する。前期・第152回(平成26年度下半期・今年1月15日発表)は、小野正嗣氏の『九年前の祈り』が受賞している。

候補作は以下のとおり(作者名=敬称略・五十音順)

■「第153回芥川龍之介賞」
内村薫風『MとΣ』(新潮3月号)
島本理生『夏の裁断』(文学界6月号)
高橋弘希『朝顔の日』(新潮6月号)
滝口悠生『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』(新潮5月号)
羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』(文学界3月号)
又吉直樹『火花』(文学界2月号)

◆芥川賞選考委員 小川洋子氏、奥泉光氏、川上弘美氏、島田雅彦氏、高樹のぶ子氏、堀江敏幸氏、宮本輝氏、村上龍氏、山田詠美氏

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